「復興五輪」見守る福島県民 さまざまな思い抱え

 
自宅のテレビで競技を観戦する佐藤さん=浪江町

 東京五輪のソフトボールが福島市のあづま球場で無観客で始まり、多くの県民がテレビ越しに選手へエールを送った。本県など被災地の現状を発信する「復興五輪」の理念の下に始まった大会。県民はさまざまな思いを抱えながら地元開催の五輪を見守る。

 「始まってしまえば応援したくなるもの。無観客は悲しいけれどね」。浪江町の佐藤秀三さん(76)は、選手の健闘を祈りながら自宅で静かにテレビ観戦した。

 東京電力福島第1原発事故による避難指示は町の一部で解除されたが、町面積の8割は帰還困難区域のままで、復興は道半ばだ。そんな中「復興五輪」が幕を開けた。

 五輪の理念は復興から「新型コロナウイルスに打ち勝つ証し」に変わったように、佐藤さんの目には映る。それでも佐藤さんは「今の福島を見るだけでなく『自分は被災地に何ができるか』を世界中の人に考えてもらう五輪になってほしい」と期待する。

 広野町のNPO法人職員鯨岡秀子さん(62)は「県内で五輪競技が開催されたことは意義深いが、新型コロナ対策で工夫を凝らして有観客で行ってほしかった」と残念がり、南相馬市の自営業小林正人さん(36)は「本来であれば復興が進む市をPRする絶好の機会だった。もはや別の世界の出来事のよう」と感じている。会津若松市の会社員安田治さん(70)も「直接競技を見ることを楽しみにしていた県民もいる。無観客で復興五輪の実感が湧かない」と胸中を明かす。

 須賀川市の会社員佐々木美代子さん(44)は「福島での開催は地元活性化のためにもよかった」と歓迎。ただ、「県内は首都圏に比べ感染状況も落ち着いている。感染対策だけはしっかりしてほしい」と求めた。