【特集・戦後76年】戦中の家族写真大事に 「当時の記憶、鮮明」

 
「戦時生活や終戦前後の思いは語り継がなければならない」と、古い写真を手に語る村上さん

 76年前、郡山第1海軍航空隊などに所属し、宮城県多賀城市で終戦を迎えた福島市泉の村上正透(せいとう)さん(93)は、終戦直前の1945(昭和20)年2月に家族と撮影した写真を今も大切に保管している。村上さんは「戦時生活や終戦前後の思いは語り継がなければならない」と、古い写真を手にしみじみと語った。

 村上さんは庭坂村(現福島市)出身。5人の兄がいたが、全員戦地などで力を尽くしていた。「自分も一日でも早く」と20歳の徴兵検査を前にした19歳の時に自ら入隊を志願した。村上さんが家に残っていた唯一の男手だったこともあり「志願しなくても来年には入隊なのに」と母には悲しまれたが、決意は固かったという。

 家族との写真は「帰ってこられないと思っていたから、せめてもの記念に」と考え、撮影したものだ。自身のほか、妹の絹子さん、洋子さんとおいの朝徳(とものり)さんが写っている。「頑張ってね」と妹らから言われた一言が忘れられない。

 多賀城市で終戦を迎え、神奈川県横須賀市で終戦処理に当たった後、福島に帰還した。あの時一緒に写真に写った朝徳さんは、まだ幼かったのにもかかわらず、村上さんが帰還する前に亡くなっていた。終戦前後の厳しい環境で、栄養不足に陥ったのが原因だった。

 村上さんは「あの時の記念撮影が、まさか今生の別れになるとは。温厚な性格の子だった。戦争がなければもっと遊んであげられたのに」と悔やむ。

 終戦から76年を迎え、当時の状況を知る人は少なくなった。村上さんは「今でも記憶は鮮明にある。この目で見た戦争をしっかり伝えていく」。平和のため、つらい思い出も若い世代に継承していく考えだ。