感染症対策、悩む保育の現場 新型コロナ、避けられぬ触れ合い

 
消毒された玩具が並んだ教室=いわき市・さかえ幼稚園(同園提供)

 いわき市で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。7月下旬から今月17日までに明らかになったクラスター(感染者集団)は19件で、そのうち6件は児童施設だった。子どもとの接触を避けるのが難しい保育の現場では、関係者が感染症対策の両立に葛藤を続けながら子どもを守るための方策を探っている。

 「触れ合いが欠かせない仕事だからこそ感染対策を徹底してきた。それでも止めることができなかった」。さかえ幼稚園(いわき市)の吉田元(げん)園長(52)はそう振り返る。同園では今月、園児や教職員計6人の感染が発覚した。

 7月19日から夏休みの預かり保育を始め、最初の陽性者が判明したのは今月2日の朝だった。預かり保育を利用していた保護者からのメールで、吉田園長は園児2人の感染を知った。すぐ来園していた園児や保護者、教職員に連絡し、3日には計35人がPCR検査を受けた。翌4日、新たに園児3人と教職員1人の感染が判明した。幸いにも吉田園長を含め、残り31人は2回目の検査でも陰性だった。

 同園は新型コロナの感染拡大後、できる限りの感染症対策を取ってきた。登園前の家庭での検温やマスク着用をはじめ、教室や玩具などの消毒を徹底し、昼食時には園児の間についたてを置いた。ただ保育の際の園児との接触は避けられなかった。

 「子どもが転んだとき、1メートル離れて『大丈夫?』と声を掛けても子どもの気持ちは癒えない。抱っこや背中をさすることで気持ちを落ち着かせることができる」と吉田園長は語る。排せつや鼻水をかむ際にも教職員の補助は欠かせない。遊ぶときに園児同士の距離が近くなったり、物を口に入れてしまったりする場合もある。現場は感染リスクと常に隣り合わせにある。

 市保健所の担当者は「(感染が拡大する)変異株は感染力が強い。特に10歳未満の子どもは感染対策が難しく、密な接触が伴う児童施設にウイルスが持ち込まれると広がりやすい」と指摘する。7月の市内の感染者数は216人で、そのうち子育て世代の30代未満が7割を占めた。普段一緒にいない人との飲食や市外との往来による感染が多く、各家庭で大人から子どもに広がっているとみられるという。

 吉田園長は3回目のPCR検査を行った上で17日、園児の預け先がない保護者向けの預かり保育をようやく再開した。「早く元通りに子どもたちの姿が戻ってきてほしいと思う半面、お盆明けにはさらなる感染拡大も懸念される。どうしたら子どもたちを守れるか」と不安は消えない。