夫妻育てたサイダー「聖地」 福島、災難乗り越え自販機設置11年

 
「サイダー自販機」を運営する義則さん(左)とひろみさん

 「塩サイダー」「富山ブラックサイダー」―。全国各地の瓶サイダーを売る自動販売機が果樹畑が広がる中で存在感を示している。場所は福島市町庭坂。県内外から瓶サイダーを目当てに多くの人が訪れ、「サイダーの聖地」ともいわれる。仕掛人は佐藤義則さん(58)とひろみさん(59)夫妻。「まさかこんなに長い間続けるとは」と歩みを振り返る。

 スタートは2010(平成22)年。自販機設置などを手掛けていた義則さんが自身の扱う自販機をPRするため、2人が近くの山で採ってきた山菜などを入れて販売を始めた。日持ちのしない山菜を何度も腐らせた経験から、「それなら」とひろみさんが信夫山で経営していた食堂で人気を集めていた「瓶サイダー」の販売を思い付いた。

 物珍しさからすぐに注目が集まり、テレビ番組で紹介されたことをきっかけに知名度は全国区になった。ただ、直後に東日本大震災が発生した。購入者はほぼゼロになった。災難は続き、盗難被害にも遭ったが「自分たちが飲みたいサイダーを選んでいるから楽しい」と2人にやめる選択肢はなかったという。

 設置から11年がたった。今では県外からの客も増え、売り上げは徐々に戻ってきた。しかし、全国各地から珍しい商品を仕入れているため、利益はほぼないという。

 2人にとってこの自販機は「宝物」。これからも、わが子のように大切に育てていくつもりだ。価格は2本で500円。問い合わせはサトーエンジニア(電話024・591・4782)へ。