前立腺がん検査薬の量産法確立 福島医大、高精度診断が可能に

 

 福島医大は24日、放射性物質「ガリウム68(Ga―68)」を材料とした前立腺がんの診断薬を大量に製造する方法を確立したと発表した。陽電子放射断層撮影(PET)検査に使う診断薬で、前立腺がんが体の各所に転移しているかどうかを従来の方法よりも高い精度で診断でき、より適切な治療が可能になるという。医大は今後動物実験を経て、来年度にも人での臨床試験に着手したいとしている。

 医大先端臨床研究センターの志賀哲教授(53)が北海道大や住友重機械工業と共同で研究に取り組んだ。医大によると志賀教授らは、先端臨床研究センターにある放射性物質を製造する装置「サイクロトロン」を使ってガリウム68を製造。前立腺がんに集まる特徴がある物質とガリウム68を合成し、「Ga―68標識PSMA―11」と呼ばれる診断薬を大量に製造する方法を確立した。

 ガリウム68の半減期は約68分と短く、病院内で診断薬を製造して投与する必要がある。この診断薬は世界で広く普及しているが、日本では規制が厳しいことなどが影響して普及していないという。

 前立腺がんは、男性のがんの中で罹患(りかん)数が最も多い。前立腺がんはコンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)、骨シンチグラフィーといった従来の検査方法では十分な診断が難しく、より精度の高い診断法が求められていた。

 志賀教授は「新しい診断薬は、従来は見つからなかったような小さながんも見つけることができる。想定していたよりも良い薬を、国産の技術でつくることができた」と意義を語った。

          ◇

 PET検査 放射線の一種「陽電子」を放出する診断薬を体内に投与し、その薬が特定の場所に集まる様子を、外部から陽電子をとらえることで画像化する診断方法。検査の目的により診断薬を選ぶことで、脳や心臓、がんなどの診断ができる。

 サイクロトロン 強い磁場を用いて粒子を円軌道で加速する装置。加速した粒子をある原子にぶつけることで、診断薬や治療薬の材料となる放射性物質を製造する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、福島医大に新たに整備された。