来てもらいたいけど...人流増に複雑 中核市近隣市町村の酒提供店

 
まん延防止措置の適用が始まり、人通りがまばらな福島市のパセオ通り。県内3市で酒類の提供の終日自粛となり、周辺市町村への人流増も予想される

 福島市に新型コロナウイルスの感染拡大に伴うまん延防止等重点措置が適用され、郡山、いわきとともに県内中核市3市で、終日酒類の提供自粛が求められた。こうした中、生活エリアが重なる近隣市町村で時間限定ながら酒を提供する飲食店への人流増も見込まれる。「多くのお客さんに来てもらいたいけど...」。コロナ禍で厳しい経営が続く各店は、感染への不安も抱えながら、対策を徹底し複雑な思いで店を開ける。

 「重点措置によって人流が本当に抑え込めるのだろうか。本宮市でも感染者が増えてしまわないか不安だ」。JR郡山駅から電車で15分足らず、本宮駅前にある飲食店の男性店主は率直な思いを語る。

 「電車で行きたいが何時まで営業しているか」「お酒は出しているか」。時短営業で酒類を提供しているこの店には、郡山市に重点措置が適用されてから、常連とは違う客からの問い合わせが寄せられるようになったという。

 男性は「飲食店からすれば居住地を聞き、お客を断るのは難しい。今の対策では感染エリアが逆に拡大する恐れがある。生活の移動エリアを考慮した先手の対策も必要ではないか」と求める。

 同じく郡山市に隣接する須賀川市の飲食店。代表の男性は「市内の店に、市外の人も多く訪れているという話を聞く。今まで以上に感染対策に気を配る必要がある」とする。店では、家族や親族でも団体客のテーブルを分けるなど防止策を講じてきた。使ったつまようじやおしぼりなどを客自身に捨ててもらうなど一層の感染対策を検討する。男性は「コロナはより身近な問題になっている。感染を広げないよう細心の注意を払いたい」と話した。

 福島市に近い伊達市にある居酒屋は3時間だけの営業で、平日の客は1、2組でゼロの日もある。女性店主は「本当は多くのお客さんに来てもらいたいが、『もし感染が拡大してしまったら』と考えると、ほかの地域から人を呼び込めない」と複雑な心境を吐露。「一番は『この店からコロナが出た』という風評被害が怖い。今は店もお客さんも我慢の時期」と語った。

 静かな夜の街 福島まん延防止開始

 26日にまん延防止等重点措置の適用が始まった福島市。飲食店が立ち並ぶJR福島駅から程近いパセオ通りでは、午後7時30分ごろから早々に店じまいする店舗も目立った。

 「一日でも早く日常を取り戻し、楽しく呑(の)める日を願って」と張り紙で臨時休業を知らせる店もあった。通りを歩く人の姿もまばらで、夜の街は静まりかえっていた。

 同駅前で1時間以上客を待っていた70代の男性タクシー運転手は、同措置適用を受けて「酒類の終日提供自粛で夜のお客さんはゼロになるかな。もうお手上げだね」と諦め顔だった。