農作物を試験栽培へ 富岡の復興拠点内2地区、検査データ収集

 

 県と富岡町の農業者らでつくる町農業復興組合は29日、町内の東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域(復興拠点)で農作物の試験栽培を始める。来年3月まで畑で作った農作物や土壌などの放射性セシウム濃度を継続して調査し、2023年春に予定される復興拠点の避難指示解除後の営農再開につなげる。

 町が26日、町内で同組合との意見交換会を開き、試験栽培について説明した。作付面積は復興拠点内の新夜ノ森、川田両地区の農地3カ所計6アール。ホウレンソウとコマツナ、キャベツ、ブロッコリー、カブの5品目を栽培し、収穫後の検査データを集める。食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えた場合は放射性セシウムの吸収抑制など有効な対策を検討し、来年度から作付面積を12アールに拡大して実証栽培に移る。

 町によると、原発事故前は復興拠点約390ヘクタールのうち、農地が約90ヘクタールを占めていた。避難指示解除を前に来春からは住民が夜間を含め長期滞在できる準備宿泊が始まる予定で、町は再生に向けた新たなステージに入る。町産業振興課は「試験栽培から農作物の出荷制限の解除につなげ、復興拠点での営農再開を後押ししたい」としている。