飲食店、自粛日常化に危機感 福島県コロナ独自対策延長

 
仕込みをする大竹さん(右)。「天ぷらを揚げて60年になるがこんな世の中はないよ」と語った =27日午後6時ごろ、会津若松市

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、延長が決まった県内56市町村対象の県の独自対策。「外食文化がなくなってしまう」。時短営業などで苦境が続く飲食店は自粛の「日常化」に危機感を募らせる。一方、感染防止対策を講じる認定飲食店で使えるプレミアム付き電子商品券を発行する県の新たな支援策も示される中、「楽しめる環境を」と前を向いて営業の形を模索する動きもある。

 「最近、疲れないから眠れないんだ」。会津若松市の天ぷら店「天一」の店主大竹美生(よしお)さん(84)は客足が激減している状況をため息交じりに語った。

 時短要請で夜の客が減ると、昼の客も減ってきた。テークアウトの注文があり何とかしのいでいるが、心配事は外食文化そのものがなくなってしまうこと。「外食しない生活が当たり前になるのが怖い。コロナ収束後も、人が外に出なくなるんじゃないか」と懸念する。ある日の客はお昼の1人だけ。昼に人が来なければ商売人の感覚で「夜も来ないだろう」と店を閉める。「(予約や問い合わせの)電話が鳴らない。壊れてるんじゃないかと思ったね」。店は県の感染防止対策認定店になっており、県の応援事業に「使えるものであってほしい」と注文した。

 同市の喫茶店「大正館」の代表矢沢睦子さん(74)も「一度、足が遠のくと外出しない意識になる」と不安を口にする。観光へのダメージを受け繁忙期がなくなったが「店を閉めたら空き店舗だらけになってしまう。1人2人のためでも店を開けることが大事だと思う」と店を守るつもりだ。

 白河市で「スナックじゅん子」を経営する瀬谷安男さん(67)は「昨年同期に比べ、売り上げは本当に厳しい。感染を防ぐため時短延長に協力することはやむを得ないが、いつまで店の体力が持ち、我慢できるか」と苦しい胸の内を明かす。それでも県の応援事業に「うまく対応できるのか心配だが、期待もある」とし「気を緩めず、これまで通り感染対策を徹底し営業したい」と前を向く。

 「何となく予想はついていた」。南相馬市原町区の「BAR fleur(バーフルール)」のマスター安藤徹さん(41)は延長を淡々と受け止める。

 安藤さんは「家飲み」が定着し、対策期間終了後もすぐに客は戻りにくいとみて、新たな営業の形を考えている。酒だけでなく、コーヒーにも力を入れており、夜のカフェとしての営業も見据える。「市内には夜にふらっと立ち寄れるカフェが少ない。お酒ばかりがやり玉に挙げられるのなら、酒がなくても楽しめる環境をつくっていくのも手だ。ポジティブにならないと」