処理水、国内外へ情報発信強化を 風評対策に福島県内関係者

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、政府は28日、当面の「風評被害対策」を県や県内市町村、各種団体の代表に説明した。出席者からは風評が生じる懸念が拭えないとして「透明性を確保し、国内外への分かりやすい情報発信を強化すべきだ」と実効性のある対策の速やかな実行を求める意見が相次いだ。情報公開や賠償対応を巡る東電への不信感もあり、理解を得られるかどうかは見通せない。

 廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会のオンライン会合で地元と政府、東電が意見を交わした。東電は第1原発から海底トンネルを掘削し、沖合の約1キロ先から放出する計画案と損害賠償の枠組み案を示した。

 県漁連の野崎哲会長は「海洋放出に反対の立場は変わらない」とした上で、沖合約1キロから放出した場合の拡散状況の想定を出すよう東電に求めた。南相馬市の門馬和夫市長は、東電の放出計画に対する国の評価を要求した。

 処理水の安全性や放出方法の妥当性について国際原子力機関(IAEA)が評価するが、JA福島五連の菅野孝志会長は「国民目線での定期的な情報発信を働き掛けてほしい」と政府に要請。鈴木正晃副知事は東電との安全確保協定に基づき、県も計画を確認する方針を明らかにした。

 市町村長からは「風評を発生させないよう、政府による万全の対策が前提だ」との声が上がった。川内村の遠藤雄幸村長は「社会や関係者への影響は小さくないが、現実的な対応」との認識を示しつつ「科学的なデータに基づく説明が必要だが、正しさだけを押し付けるようなことはしないでほしい」と念押しした。

紛争審査会での議論、賠償基準決定に必要

 東電が示した損害賠償の枠組み案を巡っては、菅野会長が「専門家による検討経過が不明ではないか」と批判。その上で、国の原子力損害賠償紛争審査会で議論し、賠償基準を決定する必要があると指摘した。

 第1原発が立地する大熊町の吉田淳町長は「直接的な損害だけではなく、間接的な損害にも丁寧かつ適切に対応してほしい」と政府と東電に注文を付けた。

 地元の理解を促す取り組みとして、NPO法人ハッピーロードネット(広野町)の西本由美子理事長が「住民に身近な存在の市町村職員や学校の先生、まちづくり団体が対象の研修会を開いてほしい」と提案した。

 政府は地元や関係者から意見の聞き取りを続け、年末までに中長期的な「行動計画」をまとめる方針だ。