新聞の役割議論 震災10年シンポ、福島民友新聞社論説委員長ら

 
風評対策や新聞の役割などを議論したシンポジウム

 ニュースパーク・日本新聞博物館(横浜市)は28日、同館で開催中の企画展「伝える、寄り添う、守る―『3・11』から10年」に合わせ、福島民友新聞社など地元紙2紙の論説委員会などによるシンポジウムをオンラインで開催した。風評被害対策や、新聞などメディアの役割について議論した。

 企画展関連シンポジウムの第2弾として、「福島の伝え方 東京電力福島第1原発事故から10年」をテーマに、福島民友新聞社の高橋満彦論説委員長、福島民報社の紺野正人論説委員会幹事、東京大大学院情報学環准教授の関谷直也氏が登壇し、共同通信社の高橋宏一郎編集局次長が進行役を務めた。

 シンポジウムでは、第1原発で発生する処理水の海洋放出方針決定や中間貯蔵施設、風評被害対策などについて意見を交わした。高橋委員長は処理水の海洋放出による風評対策について、「安全性をどれだけ説明しても、安心は理屈ではないことを理解する必要がある。人と人の信頼関係をしっかり構築することが大切だ」と述べた。

 関谷氏は「コメの全量全袋検査など、データを積み上げてきたからこそ、県内で理解が進み安心感が生まれている。県外の人たちにも、きちんと事実を伝えていかなければならない」と強調した。

 企画展は9月26日までで、震災当時の紙面や特集記事などを展示している。

地方紙の使命、報道を考える

 創刊140年を迎えた岐阜新聞社は27日、記念シンポジウム「つたえる、つながる~地方紙の使命と地方創生」を岐阜市で開いた。

 パネル討論で、矢島薫社長は、多様なメディアがある中、地方紙が互いに切磋琢磨(せっさたくま)することが重要だと指摘。「これからも地方で生きる人に根差し、地方の物差しでニュースを伝えていく」と強調した。

 岩手日報社の東根千万億(あずまねちまお)社長・主筆は、力を入れてきた震災報道に関し「経験した教訓を次の災害に生かす思いで続けていく」とした上で、「各地方紙が得意分野を増やし多様性を広げることが、地方紙全体の存在意義を高める」と語った。

 作家の安部龍太郎さんは「地方紙は日本の宝。地域の意見を集めて発表の場を与えることは、地域を支える力になっている」と話した。コーディネーターは岐阜新聞社の国本真志登・統合編集局長が務めた。