中合閉店から1年、心通う物産展続ける バイヤー「文化残したい」

 
こだわりグルメフェアの会場で出店者に声を掛ける池田さん(左)。「物産展は顧客と出店者の交流の場。この文化を残していきたい」と話す=福島市・フォーズマーケット

 長年福島市の顔として親しまれた百貨店の中合福島店が閉店し、31日で丸1年となる。かつて、中合恒例の催事として高い人気を誇った物産展の歴史をつないでいこうと、百貨店OBが福島市で奮闘している。スーパーマーケットを展開する「いちい」(福島市)の催事統括バイヤー池田学さん(42)だ。「物産展は各地の人と市民が交流できる機会。福島から物産展がなくならないよう、力を尽くしていきたい」と決意を語る。

 いちいの市内の店舗「フォーズマーケット」で30日まで開かれている「こだわりグルメフェア」の会場には北海道の海鮮弁当や静岡のお茶など各地の特産品が並んでいる。フェアを手掛けた池田さんは「百貨店の時と全く同じとはいかないが、従来同様の物を紹介しようといろいろ工夫している」と話す。コロナ下の今、感染対策にも細心の注意を払っている。

 池田さんは、中合が山形市で運営していた百貨店「十字屋山形店」に長年勤務していた。同店閉店後は同市の百貨店「大沼」にも勤め、百貨店の催事バイヤーとして約20年のキャリアがある。中合福島店の物産展にも度々関わった。

 大沼が破産し閉店した後は地元の山形県酒田市に戻っていたが、中合経由でいちいから声が掛かった。「閉店する中合に代わって福島市で物産展をやっていきたい、力を貸してほしい」という話だった。「物産展への熱意が強く、協力したいと思った」。昨年10月、いちいに入社した。

 池田さんは、長い人で17~18年の付き合いがある各地の物産展出店者との人脈を、新天地で生かしている。昨年12月、中合福島店があったビルにいちいが開店した店舗で北海道物産展を開催した時だ。「中合が閉店し、もう買うことはできないと思っていた」。涙を流して出店者と話し込む物産展の常連客の姿を目にした。「中合が長年培ってきたつながりは、非常に大きいんだなと感じた」と振り返る。

 池田さんは、物産展は物を売るだけの場ではないと言う。「自分たちが新婚旅行で行った場所の人たちと話したいと、来場する人もいる。福島市で物産展を続けていく意味は大きい」。培った経験を生かし、物産展の文化を継承していく考えだ。(須田絢一)