佐々木、100メートル自己新 東京パラ、夢舞台でかなえた約束

 
【女子100メートル(視覚障害T13)予選】ゴールした佐々木真菜。1組4着となり、決勝進出を逃した=国立競技場

 亡き恩師との約束をかなえた―。31日、東京パラリンピック陸上女子100メートル(視覚障害T13)の佐々木真菜(東邦銀行)は予選で敗れたが、自己ベストを更新する12秒96で走り、パラリンピックデビューを果たした。パラリンピックを夢見てから13年。自国開催の夢舞台で確かな足跡を刻んだ。

 曇り空から晴れ間が注ぎ込んだ国立競技場。佐々木の名前がアナウンスされると、ひときわ小柄な佐々木が「笑顔でスタートラインに立つ」との宣言通り、両手を振りながらとびきりの笑顔で応えた。

 幼いころから体を動かすことが好きで、庭塚小(福島市)時代は一人で校庭を何周も走るほど活発な少女。「真菜さんはパラリンピックに出られるかも」。小学5年で出場した福島市の陸上大会800メートルで2位になった佐々木にこう声を掛けたのが、担任の菅野美佳子さん。目に障害がある佐々木でもスポーツで活躍できる道が示された瞬間だった。

 佐々木が小学6年の時に菅野さんは白血病で亡くなったが、県立盲学校(現視覚支援学校)1年の時に東京大会の開催が決まった。「自国でパラリンピックに出られたら最高の恩返しになる」。パラリンピックは確かな目標に変わった。

 2019年の織田幹雄記念国際陸上競技大会で100メートルを13秒03で走り、派遣記録を突破。1年の延期を経てようやく立てた憧れの舞台に「この雰囲気がパラリンピックなんだな」と声を弾ませ、12秒96の自己ベストには自信を深めた。本命とする400メートルは2日に予選を迎えるが、"デビュー戦"を終えて達成感から感謝の気持ちも込み上げていた。「先生、やっと(この舞台に)立てました。やっとたどり着きましたよ」(折笠善昭)