コロナ禍、新たな挑戦 福島・中国料理「石林」 本店郊外移転へ

 
エスパル福島店で接客に当たる日比野さん

 石林(シーリン)の味を愛してくれるお客さまのため、死ぬまで料理を作り続ける。本店の移転は新たな挑戦の始まりだ」。福島市の中国料理店「石林」社長・オーナーシェフの日比野恒夫さん(67)は力強く語る。同市中心部のパセオ通りにある本店の営業を今月20日前後に終了させ、同市郊外に本店を移転させる。「これからも石林の変わらぬ味を提供していきますよ」と柔和な表情を見せた。

 日比野さんは愛知県豊橋市出身。高校卒業後、東京・赤坂の中国料理の名店に就職。3年の下積みを経て、料理人として九州や豊橋市で勤務し、1988(昭和63)年に福島市で同店を開店。中国・四川省で四川料理を学んだ際に「料理の鉄人」として有名な陳建一さんと親交を深め、本場の味にこだわるようになった。本格的な四川料理が人気で、特に自家製の豆板醤で作る麻婆豆腐は石林の代名詞だ。

 同市を代表する名店もコロナ禍に苦しんでいる。売り上げの大半が夜の宴会で経営は厳しい。さらに光熱費や賃料などの固定費が重くのしかかる。コロナ禍の収束が見えない中、客足は減っても質を落とせず、従業員の雇用も守る責任がある。ならばと、固定費も下がる郊外に移転を決めた。「心残りは、移転によってにぎわいの消えた中心部にさらに悪影響が及ぶこと」と声を落とした。

 今冬にも営業開始 

 本店の移転先は未定だが、家族向けの業態に変更して今冬には営業を始める考え。方針転換の影には、7月にJR福島駅隣接のエスパル福島に開店させた2店舗目の存在がある。「これまでと違う客層に受け入れられるよう工夫を重ね、新たな可能性を感じた。移転する本店では家族向けメニューを考案する」と探求心をのぞかせる。「コロナ禍に負けず、お客さまの笑顔のため厨房(ちゅうぼう)に立つ」と前を向いた。