菅首相退陣へ、福島県民「全て後手」 被災地に目向けられず

 
菅首相の退陣意向表明を伝えるテレビニュースが流れる店内=3日午後5時50分、福島市・ケーズデンキ福島南本店

 就任から1年。3日に退陣の意向を明らかにした菅義偉首相が政権浮揚を期待した東京五輪開催中も、新型コロナウイルス感染が拡大。「対策がワンテンポ遅い」と医療や飲食関係者らは憤った。「たたき上げ」の実務家を売りにしたが、国会や記者会見では一方的に原稿を読むばかり。政治手法にも批判が集まった。新型コロナウイルス対策や本県復興が道半ばの中、県民は菅首相の退陣意向をどう受け止めたのか。

 感染防止に向けたまん延防止等重点措置が続く福島、郡山、いわきの3市。いわき市の会社員の女性(53)は「病床の確保など、全てが後手に回っていると思う。リーダーシップを感じられなかった」と突き放した。

 福島工高1年の男子生徒(16)は中学時代に大会が中止となるなど感染拡大の影響を受け、「(首相が)リーダーシップをしっかり取ってくれれば、もっと安心して部活動に取り組めたかもしれない」と嘆く。ただ、郡山市の会社員の男性(35)は「最近の菅首相の表情を見ると、疲れているような印象を受けた。荷が重かったのかもしれない」と推察。コロナ対策については「思い切った政策はなかったが、できる限りのことはやってくれたと思う」と理解を示した。

 重点措置の対象地域以外でも感染拡大が懸念される。会津若松市の女性(55)は「辞任すると聞いても驚きはない」とした上で、コロナ対策も有効な手だてを感じられず「このままでは世の中が停滞していく」と危ぶんだ。

 震災から10年余が経過した本県。菅政権での復興施策について双葉町の飲食店マネジャーの女性(49)は「コロナ禍の中、国のトップとしてとても大変だったと思う。目立って進んだという実感はないが、菅さんにはもっと被災地に足を運んでもらい、復興を応援してほしい」と願った。

 富岡町の会社員の男性(46)は「菅首相は被災地の復興に向けて目立った施策を打ち出していなかったと思う。コロナ対策に追われ、被災地の課題にあまり目を向けられなかったのではないか」と指摘。南相馬市の団体職員の女性(26)は「コロナ対策など大変な時期でのかじ取りだったと思う。携帯料金の値下げやデジタル庁発足などは良かった」と評価する一方、4月に政府決定した東京電力福島第1原発の処理水の処分方針に触れ、「海洋放出による風評問題など課題は残っている。次の首相にも本県復興へ目を向けてほしい」と求めた。