幸せアロマ 小高に住民癒すサロン開業、地域協力隊員の水谷さん

 
「心のゆとりを提供したい」と話す水谷さん

 南相馬市起業型地域おこし協力隊員でアロマセラピストの水谷祐子さん(43)は、同市小高区にアロマサロン「SUMIRE(スミレ)」を開業した。水谷さんは「さまざまな世代の人が忙しい日常生活から離れ、気持ちにゆとりが持てる空間を提供したい」と意気込む。

 水谷さんは東京都出身。千葉県の大学を卒業後に都内で事務職などを務めていたが、アロマセラピストの道を志すようになった。きっかけは祖母の死。末期がんで闘病中の祖母へ支えになるような話ができず、無力感と後悔だけが残った。

 祖母の死後、「入院する人とその家族に寄り添えるような仕事をしたい」との思いを強くした。ある時、がん患者にアロマセラピーで癒やしを提供する活動を知り、本格的にセラピストとして勉強する決心をした。

 専門学校に約1年半通いアロマセラピストの資格を取得。2013(平成25)年から土、日曜日限定で、老人ホームで派遣セラピストとして活動を始め、人を癒やす仕事へのやりがいを感じるようになっていった。

 セラピストとして独立を考えた水谷さんは、起業家支援の一般社団法人ネクストコモンズラボ南相馬の活動を知り、19年2月に同市に拠点を移した。デイサービス施設などでの活動を継続しながら、今年8月末にようやく自分の店を持てるようになった。

 開業の地は、周辺に田んぼが広がる小高区の一角。「都会の騒々しさはなく、誰もが心にゆとりを持てる場所。縁もゆかりもなかったが、街の風土が合うと直感で感じた」と愛着を語る。

 店舗では、水谷さんがオーダーメードでアロマを配合する。活動のテーマは「地域の人々の心に寄り添い、ささやかな幸せを届ける」こと。小高区の居住人口は震災前の約3割にとどまり高齢化も進んでおり、アロマを通して地域コミュニティー活性化を目指している。

 水谷さんは「新型コロナの感染が拡大する中、素の自分に戻り語り合える時間が必要だ。アロマで心のゆとりを提供していきたい」と語る。