【いわき再起動】防災まちづくり/災害時「助け合う避難」旗印

 
掘削工事などが進む夏井川。市民の安全や安心につながる防災対策が求められている=いわき市平下平窪

 いわき市などに甚大な被害をもたらした東日本台風(台風19号)から、間もなく2年を迎える。新市長となる内田広之氏は教訓をどう生かし、防災や減災のまちづくりを進めるのか。

 市や県によると、台風に伴う大雨で市内の夏井川など計10カ所が決壊し、住宅約5000棟が浸水被害を受けた。直接死は8人、関連死は4人で県内最多。直接死はいずれも60歳以上の高齢者で死因は溺死。高齢者や障害者など自力で避難が困難な人への支援や避難情報伝達の課題などがあらためて浮き彫りとなった。

 自然災害が相次ぐ中、内田氏は山間部から沿岸部までがある広域都市のいわき市では、地区ごとに災害時の被災状況が異なる点に着目。災害が発生した場合に備え、市内の地区同士で協定を結び、助け合う仕組みの必要性を挙げる。さらに、会員制交流サイト(SNS)を活用し、若者が災害弱者の避難を支援する仕組みや、地域の防災リーダーとなる「防災士」の活用など、市民協働の仕掛けを打ち出す考えだ。

 県によると、東日本台風の借り上げ住宅などに避難する同市の世帯は7月31日現在、643世帯1392人と県内で最多。台風発生時、被害の大きかった平下平窪地区の区長だった佐藤将文さん(76)は「区外に避難している人は、もう一度戻るか迷っている。安全安心が担保される具体的な防災対策を進めてほしい」と切実な思いを語る。

 いわき市を含む夏井川や鮫川の流域5市町村と県などは8月、河川改修や自主防災組織活動の促進など、ハード、ソフト両面で取り組む「流域治水プロジェクト」を策定したばかり。現市政から託される重要課題に、暮らしと心に寄り添う"住民目線"の施策が求められる。