福島のまちと人をつなぐ「宿とカフェ」に 71カ国旅した伊藤さん

 
宿泊客にコインを手渡す伊藤さん

 「地域の新たな入り口になり、まちと人がつながるための手助けをしたい」。ゲストハウスとカフェを併設した福島市大町の「La Union(ラウニオン)」を経営する同市出身の伊藤篤史さん(37)は、世界71カ国を自転車で旅した経験を生かし、県外の旅行客を迎え入れている。

 初めての旅は大学4年の時。お金もない、パンク修理の方法も知らないまま衝動的に自転車で米国を横断した。その際、ガイドブックや雑誌では知ることのできない先住民の暮らしを目の当たりにし「まずは実際に目で確かめることが大事」と感じたという。

 その後、2011(平成23)年から4年半かけて、北米から南米の最南端まで旅するなど世界71カ国を渡り歩いた。「目的地に着くまで小さな街々を避けて通れない。地味な移動の繰り返しだけど、いろいろなものに出合える」と自転車の旅のこだわりを語る。

 「自分のように旅した人を迎え入れる場所を福島につくろう」。そう決心し、築約50年の雑居ビルをリフォームして4月に施設をオープンさせた。客室は個室が4部屋、相部屋が1部屋で、最大16人が宿泊できる。海外から来た人を含め、すでに多くの利用があるという。

 カフェでは、定番料理のウイグル風肉じゃがなど自身が旅の道中で食べた各国の大衆料理を提供。宿泊客のラウンジにもなっており、食事に来た地元の人と旅行客がつながる場にもなっているという。

 滞在した人には、街中の協力飲食店で使用でき「ウエルカムドリンク」のサービスを受けられるコインを渡している。今後は、このコインを活用して宿泊客とまちのつながりを強化することが目標だ。「宿泊施設はまちの入り口としての機能だけ。よそから来た人がまちなかの滞在体験を楽しんでもらえるような受け皿になりたい」