大熊の復興拠点、準備宿泊延期へ 除染後も一部基準超線量

 

 大熊町が10月開始を予定していた特定復興再生拠点区域(復興拠点)での住民の準備宿泊について、延期される見通しとなったことが10日、町への取材で分かった。環境省による除染後も、放射線量が解除基準の毎時3.8マイクロシーベルトを下回らない地点があったためで、同省が追加除染する。吉田淳町長は「年内に準備宿泊を始めたいが、安全最優先で取り組む」と述べた。

 町と同省福島地方環境事務所によると、復興拠点北側にある住宅周辺の屋敷林などの一部で基準値を超える地点があった。同省は復興拠点の除染を今月末に完了する目標を掲げていた。

 町は、有識者でつくる除染検証委員会を開き、町民が安全に準備宿泊できるかどうかを調べ、開始時期を判断する方針。同省は「追加除染で早期に線量低減を図りたい」としている。

 準備宿泊は住民帰還を円滑に行うため、避難指示区域で禁止されている宿泊を特例的に認める制度。空間線量がおおむね毎時3.8マイクロシーベルトを下回っていることなどが要件となる。

 町は復興拠点の来年春の避難指示解除に向け、JR大野駅周辺の下野上地区など約860ヘクタールで準備宿泊を行う考え。このうち約630ヘクタールは既に避難指示が解除されたり、立ち入り規制が緩和されたりしている。

 準備宿泊が行われる地域の対象者は約6000人に上るが、家屋を解体したり、避難先での生活が定着化するなど帰還意思のない住民も多いことから、町は準備宿泊に参加するのが1割未満とみている。