福島高専と民間4社、農機自動運転実証へ 物流にも転用検討

 

 福島高専は10日、トラクターなど農機の完全自動運転による「スマート農業」実現に向けた実証事業に着手すると発表した。本年度は国の事業採択を受け、高精度の3次元(3D)地図と衛星の測位情報を活用し、車両が決められたルートを自動運転する技術を開発する。農機具のほか、ゴルフカートや物流サービスへの転用を視野に来年度以降の実用化を目指す。

 実証事業に取り組むのは、高専の芥川一則教授の研究室と民間企業の4社で、概要は【図】の通り。大和田測量設計(広野町)が地図データの作製、車両の運行制御をエイブル(大熊町)と村上商会(東京都)、ルートの算出をアリスマー(同)が担当する。

 芥川教授によると、AI(人工知能)が詳細な3D地図を使ってルート選定することで、従来のシステムよりも精密で誤差のない運用が可能という。設置するセンサー類のコストが、約5分の1になるという点も特徴になっている。

 芥川教授らは2017年から、東京電力福島第1原発事故で増えた浜通りの耕作放棄地の解消に向けた技術開発を進めてきた。システムの肝となる3D地図は、これらの研究の蓄積から生み出されたもので、内閣府から高い評価を受けたことが実証につながった。

 実証は、福島ロボットテストフィールド(南相馬市)で行う予定で、除雪や清掃、物流への転用も検討する。農業団体やゴルフ場などにシステムを提案し、市場への流通を図る。芥川教授は「最終的には浜通りの過疎地域での農業復興につなげたい」と話している。