12~18歳の接種率向上へ情報発信強化 福島県「正しい理解を」

 
11日に行われた内郷一中生徒へのワクチン接種

 感染力が強い新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」が猛威を振るう中、県内で10代以下の感染が増加している。県民の半数以上で2回目のワクチン接種が終わったが、各家庭の判断に委ねられている12~18歳の小中学、高校生については接種が進んでいるとは言えないのが現状だ。県は「若年層の接種率を上げていくには、ワクチン接種について正しく理解してもらうことが重要」として、情報発信を強化する考えだ。

8月以降に急増

 県内の10代以下の感染状況をみると、7月は感染者927人に対し101人で、約1割にとどまっていた。しかし、8月は2951人中620人、9月(10日現在)は429人中91人で、ともに2割を超えるようになった。ワクチン接種率が9割超の高齢者の感染が減少する中、子どもの占める割合が高まった格好だ。

 8月には、子どもが関連するクラスター(感染者集団)が6件発生した。いわき市の児童施設は、60人が感染する大規模なクラスターに発展した。子どもから家庭内に感染が広がる事例もあった。今月に入っても、福島市の学習塾で集団感染が発生している。

学習機会を確保

 関係者が懸念を強めているのは、学校での感染拡大だ。集団での合唱など感染リスクの高い活動は制限しながら、子どもたちの学習機会を確保しなければならない状況に、各地で教職員や児童生徒へのワクチン接種を急ぐ動きが出ている。

 11日には、いわき市の内郷一中生徒への接種が行われた。学校医の助言に基づき始まったもので、希望する生徒が医療機関に設けられた特設会場を訪れた。接種を終えた女子生徒(3年)は「副反応は心配だったが、早く打つことができて気持ちが楽になった」と話した。父(47)は「通常の予約システムだと10月の予定だった。学校が接種を取りまとめてくれてありがたい」と安心した表情を見せた。

 子どものワクチン接種を巡っては、須賀川市が今月から、小中学生と受験を控える高校3年生の優先予約受け付けを始め、約800人の枠が埋まったという。伊達市は、これまで中学、高校生の約7割で2回目の接種を終えており、「学校でのクラスターの発生防止につながれば」と効果を期待する。

差別や偏見防ぐ

 一方で、ワクチン接種の有無が差別や偏見につながる恐れを懸念する自治体もある。白河市は校内で差別が起こらないよう、ワクチンを打ったか打っていないかの会話を控えるよう指導している。本宮市は、接種の有無が第三者に明らかにならないよう、中学生も市民と同じ一般予約で受け付けるようにしている。

 県は「子どもは重症化しにくいとされるが、リスク低減のためワクチン接種が望ましい」との立場だが、直接的な児童生徒への働き掛けはできない。そのため、会員制交流サイト(SNS)などを活用した広報に力を入れ、ワクチンに関する正しい知識の普及に取り組みたい、としている。