「接種の輪、広げたい」店舗にバッジ配布 いわきの有志団体

 
柔らかなデザインにこだわった缶バッジ

 「コロナワクチン接種済」「ワクチン接種しました」―。いわき市の有志でつくる団体「いわきコロナアクション」が直径約3センチの小さな缶バッジを作製し、バッジを着けることで安心して来店したり、人を温かく迎えられたりする雰囲気づくりにつなげようと活動を始めた。作製した2人は「ワクチンに対する多様な意見を尊重しながら、接種の輪を広げたい」との思いを込める。

 いわきコロナアクションは、地域のごみ拾いに取り組む同市のボランティア団体「iwakiはまかぜClub」の吉野嘉晃さん(42)と、デザイン会社「渡部デザイン」社長の渡部健児さん(44)による団体。バッジを活用してワクチン接種の後押しや事業者を支援しようと団体を発足させ、活動をスタートした。

 飲食店や洋服店などでの販売に加え、ワクチン接種済みの従業員らに着けてもらうことで「来店者とワクチンについての会話が生まれ、ワクチン接種を前向きに捉えるきっかけになれば」。そう考えた2人は7月ごろにバッジの作製を開始し、今月初めに1000個が完成した。

 ワクチン接種を巡っては副反応への不安などから、年齢が若い人ほど接種を避ける傾向があるとされる。だからこそバッジのデザインにはこだわった。「(接種する理由が)強制や同調圧力ではなく、前向きにワクチン接種を考えてもらいたい」と思ったからだ。

 ロゴマークやポスターなどの制作を本業とする渡部さんが「柔らかい雰囲気で圧迫しないように」と2種類をデザインした。加えて幅広い年代が分かりやすく、受け入れやすいように工夫した。

 吉野さんは「原発事故に対する反応に似ている。怖いものは怖いし、理屈じゃない。『接種する』『接種しない』の選択は尊重されなければならない」と強調する。

 バッジには「コロナ禍で苦しむ事業者に光を当てる目的もある」と吉野さん。2人は早速、市内の店へのバッジの無償配布を始めた。バッジを受け取った店が販売する。バッジの取扱店は、会員制交流サイト(SNS)のインスタグラムで「いわきコロナアクション」と検索すると、専用ページで確認できる。

 バッジの作製は全て2人の「手弁当」だ。さまざまな思いが詰め込まれたバッジを手に、吉野さんは「できる範囲でいいと思う。ワクチン接種を優しく後押しする取り組みや、事業者支援の輪が広がれば」と願う。