難病克服、ホームで雄姿 福島ホープス・山本投手粘投復活の15球

 
難病を克服し、11試合ぶりの勝利に貢献する好投を見せた山本投手

 難病を克服した左腕がチーム11試合ぶりの勝利に貢献した。12日のプロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグで、首位の群馬ダイヤモンドペガサスを9―3で破った福島レッドホープス。「また野球ができることが何よりうれしい」。八回に中継ぎで登板した山本竜豪(たつひで)選手(24)=埼玉県出身、東日本国際大卒=は仲間やファンへの感謝を胸に15球を投げ込み、1回無失点の好投で復活をアピールした。

 「なぜ自分が」。リーグ開幕前の3月、キャンプでの投球練習中に突然、左足に経験したことのないしびれが走った。チームを離れて約1カ月静養したが、しびれは両足に広がって力が入らなくなり、歩くことさえ難しくなった。脊髄の後ろにある靱帯(じんたい)が骨になって大きくなり、神経を圧迫する原因不明の難病「黄色靭帯骨化症」だった。

 医者に勧められてすぐに手術を決断したが、不安は尽きなかった。「(手術をしても)しびれが残ったらどうしよう」「もう野球はできないんじゃないか」。折れそうになる気持ちを奮い立たせてくれたのは、チームの仲間やファンからの励ましだった。「大丈夫か」「待っているぞ」。それだけで、自然と前を向けた。

 手術から約2週間後の6月中旬にチームへ合流したが、球速は5キロほど落ち、体力も衰えた。当初は走り始めると止まることができないほど、足の感覚が乏しかった。効果的という自転車でのトレーニングを連日1時間こなすなど懸命にリハビリを重ね、医者が「驚異的」と言うほどの回復で難病に打ち勝った。

 復帰後の初登板となった9日の敵地での信濃グランセローズ戦では1回を投げて1点を失い、チームも敗れた。しかし、12日のホーム・ヨーク開成山スタジアム(郡山市)では訪れたファンの声援を背に、走者を許しても最後まで落ち着いた姿を披露。要所を締める投球で得点を与えず、野球ができる喜びと感謝の思いを結果で示した。

 今季は残り2試合となり、チームは中地区の最下位に低迷している。「来季の飛躍のためにも(残り2試合で)登板機会があれば全力で投げたい」。苦しんだ時間の分だけ、チームと勝利への思いを強めている。