双葉に「合祭殿」完成 八幡神社、被災地の神社と氏子をつなぐ

 
双葉町中野に完成した合祭殿。八幡神社の社殿が合祭殿を兼ねている=14日

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で、再建や参拝が困難な神社の神様を祭礼の都度迎える「合祭殿」が、双葉町中野の八幡神社に完成した。14日、現地で式典が行われ、関係者が被災地の神社と氏子をつなぐ施設として末永く守ることを誓った。

 県神社庁によると、災害の影響で合祭殿が設置されるのは全国で初めて。地震や津波で全壊、流失したり、原発事故に伴う帰還困難区域の中にあり、立ち入りや再建が難しい神社は県内で70を超えるという。

 社殿は八幡神社を兼ねており、離れた場所の神社を拝む「遥拝(ようはい)」のほか、伝統芸能の伝承の場としての役割を併せ持つ。全国では過疎のため神社の維持に悩む地域も増えており、先進的な事例としても注目される。

 式典には関係者約40人が出席。神事は帰還困難区域などにある神社の神様を合祭殿に迎える形で行われた。斎主を務めた八幡神社の高倉洋尚宮司によると、既に神様が祭られている社殿に他の神社の神様を招くことは極めてまれという。

 式典を主催した県神社庁の丹治正博庁長が「復興までの長い年月、神社と氏子をつなぐ絆の施設として、末永く活用されることを守り伝えていきたい」とあいさつ。丹治庁長や宇佐神(うさみ)正道県神社庁双葉支部長らが境内にオオシマザクラ、スダジイなどを植樹した。

 八幡神社は、震災の津波で社殿が流失。同神社と県神社庁は復興祈念公園内にあり、設置場所にふさわしいとして、神社再建と合わせて合祭殿を設けた。同町中野地区は空間放射線量が低く、昨年3月に避難指示が解除された。