ファンのため感染対策徹底 愛知音楽イベント問題受け県内事業者

 
「楽しみにしてくれている人のためにも、対策を徹底していく」と話す阿部さん=福島市・福島アウトライン

 愛知県常滑市で8月に開催された野外音楽イベントで新型コロナウイルス対策が徹底されなかった問題は、県内にも波紋を広げている。感染対策を万全にしても「音楽イベントは危険」といった偏見が広がりかねないためだ。音楽の感動と感染防止の両立へ―。関係者の模索が続く。

 「ショックのひと言。今までの努力が一気に崩れてしまった感じだ」。福島市のライブハウス「福島アウトライン」のイベント企画担当の阿部綾子さん(40)は、愛知の問題に肩を落とす。周りの音楽関係者の間では「業界全体への影響が懸念されるまずい出来事」との受け止めが広がっているという。

 阿部さんが勤務するアウトラインは、コロナ禍前は月に15本程度のイベントを展開し、多くの音楽ファンを楽しませていた。しかし、新型コロナ感染拡大後は、県や自治体の要請に従い自粛するなど、開催本数を減らしている。

 「楽しみにしてくれているファンのために」と、開催の際も入場者数を約4分の1の50人程度に制限してオンラインで配信するなど、感染防止対策を徹底してきた。そんな中で起きた今回の騒動。「『音楽イベント=全て危険』という誤解が生まれるのでは」と不安が募る。

 阿部さんは、20日に猪苗代町の猪苗代野外音楽堂で開かれる野外ライブ「東北ライブハウス大作戦GIG2021」の運営にも携わる。感染防止対策として、約3000人収容できるところを1200人程度に制限し、県の指針に従って開催する予定だ。「開催しない判断も大切だが、音楽イベントが心の支えになっている人もいる。楽しみにしてくれている人のためにも、対策を皆で徹底していく」

 イベントなどでステージ音響や照明などを担う県内の事業者らでつくる県舞台照明音響事業者協議会。会長の安斎友国さん(45)=郡山市=は「感染対策をしっかり取らないことで、悪例をつくった」と愛知の問題に苦言を呈す。

 安斎さんによると、新潟県湯沢町で8月下旬に開かれた野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」では、飲酒禁止や観客数の大幅減などの対策が功を奏し、目立った感染拡大にはつながらなかった。安斎さんはこうした事例を挙げ「運営側が万全の対策を取っていれば、拡大は防ぐことができるはず」と考える。

 コロナ下で現在もイベントは大幅に減少した状況が続いており「(開催に当たって)主催者やわれわれ裏方が感染防止への意識をしっかりと共有していくことが大切だ」と力を込める。

 県、1000人超は事前相談を

 県は新型コロナウイルス感染症対策本部にイベント相談窓口を設置し、感染防止対策などを指導している。広域の移動を伴うものや、参加者が千人を超えるイベントを開催する場合は、主催者や施設管理者に事前相談を求めている。

 愛知県常滑市の野外音楽イベントを巡る問題 8月29日に開催された「NAMIMONOGATARI2021」で、マスクなしで密集したり、酒類が提供されたりするなど感染対策が不十分だったことが判明。今月16日までに参加者ら45人の陽性が判明し、愛知県が第三者委員会を立ち上げて検証を進めている。