住民の声、命守る教訓 只見中生が語り部活動 新潟・福島豪雨10年

 
新潟・福島豪雨の教訓を後世に残そうと実施された只見中生の語り部活動。住民から聞き取りし、災害の恐ろしさや正しい避難方法などを小学生に伝えた

 2011(平成23)年7月に発生した新潟・福島豪雨から10年がたった。只見町では同27~30日の4日間で観測史上最大となる711.5ミリの雨量を観測。町内を流れる只見川が氾濫し、1人が行方不明となり、全町に避難勧告が出された。10年が経過したことで記憶の風化が懸念される。悲劇を繰り返さないためにも記憶を継承し、住民の防災意識を高めることが大切だ。(南会津支局・中田亮)

 県内で最大の被害に見舞われた只見町。住民の防災意識の向上に向け、豪雨被害を知らない世代にどう伝えていくかが課題となっている。今年7月、地域合同防災訓練が只見中などで行われ、同校の3年生が初めて災害を伝える語り部活動を行った。生徒は被害に遭った町内の朝日、只見、明和の3地区の住民に当時の様子について聞き取りし、まとめた資料を基に語り部として朝日小の児童に水害の恐ろしさを伝えた。

 生徒は、当時の被害状況をパワーポイントなどを使って説明、小学生にも伝わるよう丁寧な言葉で語り掛けた。教務主任の目黒英樹さん(51)は「住民から聞き取りした当時の被害状況を分かりやすく伝えるために工夫をすることで、自分たちの住む地域に対する見方が変わった」と成果を口にする。

 語り部活動をした小沼和葉さん(15)は「想像もできない被害があったことを学んだ。住民の命を守るためにも学習したことを後世に伝えなければならないと感じた」と話した。長谷川千夏さん(15)は「足腰の弱い高齢者をどのように避難させるのだろう」と、合同訓練や語り部活動を通じて感じた課題を挙げた。只見中は、防災意識の高揚や豪雨災害の記憶を残そうと、当時の河川の水位などを記した看板の設置などを検討している。大規模な自然災害が増え、防災や当時の記憶を伝える仕組みづくりが急がれる中、若い世代が水害の教訓を伝える役割の一端を担った。

 町は7月、関係者を集めた防災訓練を行い、区長や民生委員、消防団が連携して避難が必要な住民の情報を地図上で把握する訓練を展開した。豪雨災害では町内の一部の集落が孤立して住民の安否情報が錯綜(さくそう)した経緯があり、改めて連携体制を確認した形だ。町は今年4月、災害発生時にホームページが防災情報を表示するページに自動的に切り替わるシステムを導入した。各地区のハザードマップを掲載して刻々と変わる気象情報や河川の水位、防災情報などを随時更新することで住民の迅速な避難につなげたい考えだ。

 被災者の多くが「想像を超えていた」と口をそろえる新潟・福島豪雨。教訓を学び、「想定外」に備えておくことが被害の軽減につながるはずだ。豪雨災害から10年の節目に、災害の記憶を残そうと会津地方の各地でパネル展や防災訓練が行われたが、一過性の行事で終わらせてはならない。県や自治体、住民が連携して防災意識を高めていくことが住民の命を守る礎となる。