家族写真撮り始め半世紀、4世代写す50枚 相馬・阿部さん夫妻

 
アルバムを開く純一郎さん(右)と道子さん

 2人で撮り始めた家族写真は半世紀がたち10人に―。相馬市の阿部純一郎さん(80)、道子さん(73)夫妻は結婚翌年から、毎年欠かさず地元の写真館で記念撮影を続けてきた。今年50枚目の写真を収めたアルバムには、喜びや悲しみが詰まっている。純一郎さんは「家族が失われたときには寂しさもあったが、新しく生まれてくる子や孫の成長が力だった」と振り返る。

 2人は1971(昭和46)年10月に結婚。正装の純一郎さんと花嫁姿の道子さんは、市内の星写真館で記念写真を撮った後、披露宴会場の市民会館に歩いて向かった。道子さんは「行き交う人たちがおめでとうと声を掛けてくれた」と思い出を振り返る。

 翌72年の正月、年始のあいさつの帰り道だった。写真館を通り過ぎ、近くの宇多川橋を渡りかけたとき、ふと純一郎さんが道子さんへ一言。「記念に写真を撮ろうか」。2人は引き返し店に入った。

 そんな気まぐれで始まった記念撮影は翌年も続き、いつの間にか正月の恒例行事に。73年、道子さんの膝には生まれたばかりの長男純也さんが乗った。75年からは次男の憲二さんと父純太郎さん、母セイ子さんも加わり、89年には息子2人の身長がついに純一郎さんを超えた。

 2000年代に入り、純太郎さんが亡くなったが、孫たちが写真をにぎやかにした。11年、道子さんは前年に旅立ったセイ子さんの形見の着物で撮影。そして、金婚を迎えた今年、純一郎さんと道子さんは花束を手に、息子夫妻と4人の孫たちに囲まれた。

 アルバムは計3冊。ページをめくると、写真とともに、その年に家族に起きた出来事や社会的な事件などが純一郎さんの手で書き留められている。道子さんは「じっくり眺めていると、子育てに夢中だった頃の記憶がよみがえる。支えてくれた人たちに改めてお礼が言いたい」と感謝した。(丹治隆宏)

 星写真館 3代にわたり撮影「財産」

 一家の撮影を続ける星写真館の会長西村年晴さん(65)は「同じ場所で50年間、家族写真を撮り続けたという話は聞いたことがない。極めてまれなのではないか」と話す。初めの頃は父薫さんがシャッターを切っていたが、年晴さんを経て、今では社長で長男の昌也さん(36)が手掛ける。

 薫さんが亡くなった年に生まれた昌也さんは、初期の写真を通じて祖父の息遣いを感じ取る。「教わったわけでもないのに、祖父と自分の写真は似ている」と驚く。年晴さんは「50枚の写真が家族の全てを物語っている。私たち親子3代にとっても、阿部家の写真は財産だ」と力を込めた。