米が福島県産食品規制「撤廃」 14県100品目、輸出拡大へ弾み

 

 東京電力福島第1原発事故後の日本産食品の輸入規制について、米国政府が現地時間21日に撤廃した。政府は農林水産物・食品の輸出拡大に弾みがつくと期待する。ただ環太平洋連携協定(TPP)に加入申請した中国のほか、韓国や香港を含め計14カ国・地域は輸入停止などの措置を維持しており、政府は規制撤廃の働き掛けを続ける。

 米国が規制を解除した対象は本県や宮城など14県で、本県産のコメや各地の原木シイタケなど延べ100品目に及ぶ。菅義偉首相は22日、自身のツイッターに「わが国として大いに歓迎します」と投稿した。加藤勝信官房長官も記者会見で「被災地の復興を国際社会に示すことにつながる」と歓迎した。

 農林水産省によると、原発事故後に規制の中でも最も厳しい輸入停止の措置に踏み切ったのは最大20カ国・地域に上った。規制が残る14カ国・地域のうち中国、韓国、香港、台湾、マカオの5カ国・地域は輸入停止を続けている。

 そのうち中国は、本県や宮城など9都県の全ての食品や、コメを除く新潟の食品などを対象に輸入を止めている。韓国は本県や岩手など8県の全ての水産物を、香港も本県の野菜や牛乳の輸入を停止している。

 一方、欧州連合(EU)やロシアなどその他の9カ国・地域は輸入停止はしていないものの、放射性物質の検査証明書などを要求している。

 中国は16日にTPP加入を正式申請した。これに続き台湾が申請したほか、韓国も参加に意欲を示しているが、日本政府関係者は「加入には輸入規制撤廃が必要になる」と指摘。今後のTPP加入を巡る議論に影響を与える可能性がある。

 内堀知事「風評払拭後押し」

 規制撤廃を受け、内堀雅雄知事は22日、「ほかの規制実施国に影響を与え、風評払拭(ふっしょく)を後押しする」とのコメントを発表した。菅野孝志JA福島五連会長は「農畜産物の販路拡大が求められる中、意義深い」とし、規制が残る国・地域の撤廃へ期待感を示した。

 県によると、米国は県産品の輸出額が最も多く、昨年度は日本酒や加工食品を中心に約2億2500万円に上り、県全体(約9億500万円)の約4分の1を占めた。一方で農産物の実績はなく、現在も牛肉など一部に限られているという。県はコメの輸出に期待しており「市場規模の大きい米国に県産米のおいしさを発信していきたい」(農産物流通課)としている。

 県は今秋から、米国への輸出拡大に向けた取り組みを開始。飲食店や量販店で県産品のフェアを初めて開く。10月ごろから現地の飲食店5店程度、来年2月ごろからは量販店2店程度で福島牛を使った料理や本県沖で取れた魚の加工品などを販売。県産の日本酒を提供している飲食店や量販店で、酒と県産農産物を組み合わせて売り出す計画もあり、影響力の大きいインフルエンサーに協力を呼び掛け、会員制交流サイト(SNS)などで発信してもらう狙いだ。