安全発信へ大きな一歩  県産食品米規制撤廃、生産者から期待の声

 
「胸を張ってまた来年から作付けができる」と規制撤廃を喜ぶ滝田さん=白河市

 東京電力福島第1原発事故から続いてきた米国の日本産食品への輸入規制が撤廃された。規制が解除された本県産食品はコメや原木シイタケなど35品目に上る。根強い風評被害に苦しんできた県内生産者からは、風評被害からの脱却や本県農産物の一層の安全性の発信につながると、期待の声が上がった。

 「県産米の販路拡大につながる。JAやコメを扱う業者を含め販売戦略をどう描いていくかが重要だ」。富岡町でコメ作りを続けてきた農業渡辺伸(のぼる)さん(61)は米国の輸入規制撤廃を歓迎した。

 渡辺さんは、同町の帰還困難区域を除く避難指示が解除された2017(平成29)年春、震災から7年ぶりに60アールの水田でコメ作りを再開した。全町避難で町内に増えたイノシシに頭を悩ませながら試行錯誤を重ね、今年の作付面積は約7ヘクタールまで拡大した。来年は震災前とほぼ同じ約10ヘクタールが目標だ。渡辺さんは今はコメを海外に輸出する考えはないが、米国の規制撤廃を受けて「これからも安心して食べてもらえるよう努力が大事」と県産米の魅力の向上に取り組みたいという。

 新型コロナウイルスの影響などで、各JAがコメ生産者に仮払いする「概算金」が引き下げられるなどコメ農家には逆風も続く。白河市の農事組合法人深渡戸アグリ21に所属する滝田国男さん(64)は「ホテルなどで使われる業務用のコメの需要が下がり、価格が下がると予想していた。規制撤廃により、価格が上がると期待したい」と喜ぶ。

 米国の規制撤廃については「長年、県産食品が安心だと発信する活動をしてきた成果。米国が県産食品を安全だと認めてくれた意義は大きく、来年も胸を張って作付けができる」と収穫が近づく稲穂を見つめた。

 「風評と向き合い、地道に栽培を続けてきた中で、米国の輸入規制の撤廃は大きな進展だ」と話すのは本宮市で原木シイタケを栽培し、県原木椎茸(しいたけ)再生産をめざす会会長も務める国分進さん(69)。県産の原木シイタケは原発事故後、風評被害による値下がりなどで苦境に立たされてきた。

 国分さんらは14(平成26)年に会を設立し、安全な生産体制の確立や販売促進に取り組んできたが「今も国内でも風評がある状況だ」と明かす。国分さんの原木シイタケの出荷量は生と乾燥を合わせて、事故前の3分の1にまで減った。「原発事故前、日本の乾燥シイタケは香港で特に人気が高かった。米国の動きによって安全性が理解され、現在も輸入規制している中国や韓国など他国が考え直すきっかけになってほしい」と期待を寄せた。