只見線の橋やトンネル、土木遺産に 絶景や奥会津の魅力再発信

 
絶景が広がる紅葉の時期の第1只見川橋梁=昨年11月、三島町

 JR只見線の橋やトンネルが、後世に伝えるべき土木建築として土木学会の認定する「土木遺産」に選ばれた。只見線は、日本の原風景が残る奥会津の魅力の一つ。関係者は、来年中の再開を目指して整備が進む只見線の新たな魅力の発信と、沿線の活性化を期待する。認定は17日付。県が28日に発表した。

 「福島、新潟両県の地域資源の活用や豪雪地帯を結ぶライフラインとして、その機能美や四季折々の風景を創生する」として認定された。

 東京五輪の聖火リレーの舞台になった三島町の第1只見川橋梁(きょうりょう)(三島町)や、只見町と新潟県魚沼市を結ぶ延長6359メートルの六十里越(ろくじゅうりごえ)トンネルなど1925(大正14)~71年に完成した17施設が選定されている。

 県と沿線自治体でつくる只見線利活用推進協議会が、登録を目指していた。県は「全線開通後の利活用が課題だが、認定をきっかけに新たな観光資源として只見線をアピールしたい」(只見線再開準備室)とし、観光ツアーなどを企画して利活用を図るという。

 土木遺産は完成から50年以上の土木建築が対象で、歴史的土木建造物の顕彰が目的。県内では西根堰(ぜき)(福島市など)や磐越西線など6カ所が認定されており、今回で7例目。

 喜び「建造物もすごいんだ」

 只見線に関わってきた地元関係者も喜びに沸いた。

 「歴史的構造物としての価値が認められた。景観だけでなく建造物もすごいんだと選ばれたことはうれしい」。只見線を撮り続け、沿線の魅力を発信する奥会津郷土写真家の星賢孝(けんこう)さん(72)=金山町=は喜ぶ。全線再開通や新型コロナ収束後の観光による地域活性化にも追い風になる。年明けには自らが関わった只見線の映画の上映を控え「各地で上映し、只見線を大いにアピールしたい」と語る。

 只見線地域コーディネーターの酒井治子さん(40)=只見町=は「父が只見線で保線の仕事に携わっていて、建設に関わった多くの先人たちにとって誇りになる」と歓迎。企画列車や特産品の車内販売などを通じて同線や沿線地域の魅力を発信しており「只見線と奥会津の自然が醸し出す風景、歴史、路線が通る地形などさまざまな視点からPR活動を進めたい」と意気込む。

 只見線の元運転士森川卓(すぐれ)さん(63)=会津美里町=は、ボランティアで沿線の駅に展示されている蒸気機関車(SL)のペンキ塗りなどに取り組んでいる。「実際に運転していた時はすごさがあんまり分からなかったが、星さんの写真を見たりして只見線の偉大さが分かった。苦労が報われた」と語った。

 只見川電源流域振興協議会長の舟木幸一昭和村長は「全線再開通に合わせ、多くのお客さんに利用してもらう弾みになれば」と期待。JR只見線利用促進実行委員会長の渡部勇夫只見町長は「町民に大きな力を与える。只見線の価値を再考する機会にしていく」と述べた。