花道は浪江の横断歩道、原発事故避難の交通指導員 活動に終止符

 
古里で10年半ぶりに交通指導した佐々木さん(左)=28日午後、浪江町権現堂

 東京電力福島第1原発事故で白河市に避難する浪江町の交通教育専門員佐々木庸太郎さん(79)は28日、東日本大震災から10年半ぶりに古里の交差点に立ち、子どもたちに交通指導した。この日は約17年にわたる活動の最終日で、佐々木さんの"引退の花道"となった横断歩道を、子どもたちが元気に渡った。

 震災前、同町権現堂でお菓子の仲卸業を営んでいた佐々木さんは地域の子どもたちの交通安全のためと、2004(平成16)年10月、町の交通教育専門員の委嘱を受けた。権現堂地区の交差点で毎朝、浪江小や浪江中に登校する児童生徒の安全を守ってきた。

 原発事故による避難で白河市に移り住んだ後も、今年5月までの約10年間、表郷小近くの国道289号の交差点に立った。知らない土地での活動だったが「子どもたちの顔を見ると若い気持ちでいられる」と避難先でも活動を続け、震災から10年を区切りに、いったん活動を終えた。

 今回の交通指導は、佐々木さんが震災前に活動した交差点の信号機が撤去されることが決まったことから、佐々木さんの長年にわたる活動に感謝しようと町行政区長会が企画した。

 震災と原発事故の影響で浪江小や浪江中は閉校し解体され、町の風景は一変したが、佐々木さんは震災前と変わらない制服姿で交差点に登場。浪江にじいろこども園となみえ創成小の子どもたち5人が駆け付け、佐々木さんの交通整理で横断歩道を渡った。区長会長の佐藤秀三さんが佐々木さんに感謝状を贈った。

 佐々木さんは「子どもたちの笑顔があったから続けてこられた。みんなに感謝したい」と語り、長年の活動に終止符を打った。