実りの秋 復興への一粒...大熊町と葛尾村、原発事故後初の稲刈り

 

■大熊・熊地区 

 大熊町と町農業委員会は29日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域の熊地区で原発事故後初の稲刈りを行った。営農再開に向けた試験栽培の一環で、町内の帰還困難区域での取り組みは2年目。

 稲刈りが行われたのは来春に避難指示が解除される特定復興再生拠点区域(復興拠点)の同町熊字錦台の水田約3アール。昨年は下野上地区で行い、ことしは山あいの熊地区で試験栽培した。町農業委員らが手作業でたわわに実ったコシヒカリを刈り取った。

 収穫したコメの一部について放射性物質検査で安全性を確認した後、全量を廃棄する。

 根本友子会長は「地力のない田んぼでしっかり実ってくれた。今回は山から流れる沢の水を使っており、不安があるが安全を証明したい」と話した。

■葛尾・野行

 来春に避難指示が解除される葛尾村野行(のゆき)の復興拠点では29日までに、試験栽培しているコメの稲刈りが11年ぶりに行われた。地元コメ農家でつくる野行農業生産組合が黄金色に実った県オリジナル米「里山のつぶ」を機械で刈り取った。

 半沢富二雄組合長は「田植えのときは古里での営農再開に希望でいっぱいだった。いざ収穫してみると不安がよぎるが再生のため前に進むしかない」と話した。