広島と長崎の知見、知る人ほど少なく 原発事故の遺伝的影響不安

 

 福島医大公衆衛生学講座の中山千尋助教(63)らの研究チームが、東京電力福島第1原発事故に伴う被ばくで次世代に遺伝的影響が生じるという誤った理解に基づく不安は、広島、長崎の被爆2世、3世に有害な影響がみられていないという知識を持っている人の間では有意に低かったとする調査結果をまとめた。日本公衆衛生雑誌に発表した。

 原発事故に伴う被ばくによる次世代への遺伝的影響は国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR=アンスケア)の報告書などで明確に否定されているが、誤った理解から次世代影響を不安に思っている人がいるのが現状だ。研究チームは「原爆の2世、3世に有害な影響は出ていないという具体的な知識の普及によって、次世代影響不安を軽減できる可能性が示唆された」としている。

 2016年8~10月、20~79歳の県民に対し郵送でアンケートを行い、浜通りの住民と、原発事故の避難地域に住所のある人計381人の回答を分析した。

 この調査では、次世代影響不安とメディアの関係も検討した。浜通りの住民で、放射線に関する情報を得るメディアとして全国民放テレビを利用すると回答した人の次世代影響不安は、利用しない人と比べて有意に高かった。

 研究チームは「全国民放テレビのセンセーショナルな放送内容が、浜通りの住民の次世代影響不安を高めた可能性を示唆している」と指摘している。