福島県民「被災地の声」重視を 岸田内閣発足、着実な復興策要望

 
新首相に選出された岸田氏を映し出したテレビが並ぶ売り場=4日午後、福島市・ケーズデンキ福島南本店

 岸田文雄内閣が4日、発足した。新型コロナウイルス感染症で疲弊した経済回復など課題が山積する中での船出となり、県民からは新内閣への期待と注文の声が相次いだ。震災と原発事故から10年が過ぎたが、本県はいまだ復興の途中。県民は「国民の声を聞く力」をアピールする岸田氏が率いる新内閣に、被災地の声を重視した復興策を求めた。

「感染対策と経済再生を両輪として取り組み、国民目線で実行してもらいたい」。会津若松市の会社役員玉川福男さん(67)はこう注文する。新型コロナで影響を受ける経済の回復を求める声は多い。福島市のNPO法人土湯温泉観光協会長の加藤貴之さん(45)は「旅館は疲弊しているが、耐え忍んできた。永続的な観光振興をお願いしたい」と語気を強め、岸田氏が掲げる観光業の新たな需要喚起策「Go To2・0」の開始を待ちわびる。

 加藤さんは昨年9月、自民党総裁選で土湯温泉を視察した岸田氏の案内役を務めた。興味深そうに説明を聞く姿が記憶に残っており「話を聞き、それを実現する力を期待したい」と強調した。

 ワクチン接種の加速を望む声も上がった。医療現場の状況を間近に見てきたいわき市の病院職員小宅美和さん(50)は「流行の『第6波』に備えてワクチンの供給をスムーズに進めてほしい」と話す。

 一方で新内閣には、東京電力福島第1原発で生じる放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を巡る風評被害対策や、避難区域の復興加速も重要な課題だ。郡山市の団体職員柳沼克幸さん(37)は「農作物や加工品の売り上げが戻っていない事業者が多い」とし、14カ国・地域で続く輸入規制撤廃と風評対策を求めた。

 新内閣では、西銘恒三郎氏が復興相と沖縄北方担当相に就任し、歴代の復興相で初めてほかの国務を兼務する。柳沼さんは「(兼務となることで)本県への対応がなおざりにされるようなことがあっては困る」とくぎを刺した。

 浪江町からいわき市に避難し、同市の復興公営住宅で暮らす佐山弘明さん(67)は除染土壌などが搬入される中間貯蔵施設について「施設での保管期間は最大30年だ。県外での最終処分の議論を新政権で加速させてほしい」と願った。

 復興を担う人材育成などに取り組む広野町のNPO法人ハッピーロードネット理事長の西本由美子さん(68)は「特に少子化対策を担当する野田聖子氏の行動力に期待している。被災地を含め子育てしやすい環境の整備に尽力してほしい」と望んだ。