【東日本台風2年・再建】水害で街並み変化 元の場所に住宅再建も

 
水害に遭った元の場所に戻り再建を決意した佐藤さん。水害に備え、3階建て住宅を新築している=本宮市

 東日本台風(台風19号)から2年の間で水害を受けた地域の街並みは変化した。約1400件の建物が浸水した本宮市では、住宅や空き家約200件が公費で解体され空き地が増えた。一方で、阿武隈川の堤防は東日本台風時と同じ水位に対応できる高さまでかさ上げされるなど水害対策が進んだ。住宅再建の動きも見え始め、かつての日常を少しずつ取り戻している。

 「アパート暮らしは窮屈さを感じる。11月に家ができるのは楽しみだね」。阿武隈川と、その支流の安達太良川に隣接する本宮市荒町地区で住宅を再建する佐藤仁さん(61)は避難生活を振り返り、つぶやいた。

 佐藤さん方は江戸時代から続く京染店で荒町地区で先祖代々、家業を営んできた。しかし、安達太良川の堤防の決壊で床上約120センチの浸水被害を受け、店舗兼住宅が半壊。老朽化もあり、公費解体を決断した。

 被災者の中には浸水区域外に安住の地を求めて転居する人もいるが、佐藤さんは再建する道を選んだ。「この地区は人がいいんだよね。これが他の地域に行って、また一からコミュニティーをつくるとなると心の負担は大きい」と理由を明かす。

 約30世帯ほどが暮らす荒町町内会は奉仕活動や自主防災組織の活動が定期的に行われ、仲間意識の強い地域だ。JR本宮駅から近く、商店街やスーパーが隣接する立地の良さや、長年にわたり佐藤さん自身が商売を営んできたことも再建する要因となった。

被害備え、居住2階に

 ただ、水害への不安が消えたわけではない。東日本台風では1階にあった商品が水没し、生活の中心だった居住スペースも被害を受けた。「もう、あんな思いはしたくない」。水害に備え3階建てにし、1階は駐車場と簡易的な事務スペース、2階が居住スペース、3階は寝室とする予定だ。

跡地に「戻る」少数か

 住宅再建の動きが見える一方で、市が公費解体を申し込んだ住民に行ったアンケートによると、解体した跡地に建物を「再建しない予定」または「再建するか未定」と回答した人が全体の約8割に上った。元の土地に戻る人は少数とみられ、市は空洞化を避けるため浸水した地域の空き地の利活用も課題に挙げる。今のところ、土地のかさ上げの補助などを例に対策を協議中で、市の担当者は「地主の意見や被災者の実情を調査しながら、浸水した区域の今後の在り方を検討していきたい」としている。

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 住宅全壊1434棟1053世帯 県のまとめ(7日発表)によると、住宅被害は全壊が1434棟1053世帯、半壊が1万2010棟1万2556世帯で、一部破損が7007棟7280世帯。浸水は床上1022棟118世帯、床下430棟261世帯。非住家は公共建物62棟、その他が9935棟となっている。県が管理する道路2カ所と市町村道464カ所で被害が出た。