浪江・ふたば自動車学校、11月1日再開 震災から10年半ぶり

 
教習再開に向け準備を進める長沼さん(右)と大和田さん

 浪江町のふたば自動車学校は11月1日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による休業を経て、約10年半ぶりに教習を再開する。震災後、双葉郡での自動車学校の再開は初めて。

 教習開始を前に、社長の長沼克往さん(57)は「私たちが先に帰り、暮らしやすい環境を整えて古里復興をけん引したい」と決意を新たにしている。

 震災当時は、地元の高校生を中心に約250人の生徒が通っていた。地震は休み時間に発生し、教習は打ち切りに。その後、全生徒を無事に自宅や保護者に届けた。しかし、翌日から震災と原発事故の影響で休業を余儀なくされ、約10年半が経過した。

 同校は福島第1原発から南東に約7キロ。原発事故の影響は大きかった。長沼さんは校長の大和田好英さん(77)らと共に、県内外に避難した生徒の転校手続きや教習料の返金対応に追われた。震災前に築いた県内外の教習所のネットワークを活用して転校をあっせんし、教習料は1円単位で返したという。2人は「振込手数料の方が高くつくこともあった」と笑いながら振り返る。

 事業再開のめどが立たない中でも、長沼さんは将来の再開を見据えて全従業員の雇用を守り、再開にこぎ着けた。来月には震災前と変わらない仲間と教習を始めようとしている。

 双葉郡は原発事故による避難で若年層の住民が大幅に減り、高齢化が進んだ。若者の自動車教習は震災前より減ることが予想されるため、再開後は自動車教習とは別に二つの事業を軸とする考えだ。一つは産業機械の講習だ。浜通りの復興事業で働く作業員向けに、移動式クレーンやフォークリフトなどの資格を取得できる講習所を新設した。もう一つは自動車免許の高齢者講習だ。

 再開に向けて、教室や事務所などを建て替えた。校内の道路はきれいに舗装し直し、車両も一新した。

 浪江地区交通安全協会長も務める長沼さんは「自動運転など、自動車を巡る技術は進歩しても、その時々で求められるドライバーの育成は必要。今後も地域の『交通安全センター』であり続けたい」と話す。