受け継ぐ信念、親近感 映画「燃えよ剣」松平容保役・尾上右近さん

 
鶴ケ城本丸に立つ尾上右近さん=会津若松市

 土方歳三を中心に新選組の活躍とその最期を描いた司馬遼太郎原作の映画「燃えよ剣」が好調上映中だ。作中、新選組の誕生に大きく関わった会津藩主、松平容保(かたもり)役を演じた尾上右近さんに作品への思いを聞いた。

 ―19日に会津若松市を訪れた。ゆかりの地を巡った感想を。
 「撮影に入る2年半前に訪ねた時は雪景色だったが、今回は秋で、違う雰囲気を感じることができた。実際の撮影は京都だったが、撮影前に会津を訪れその空気感に触れたことで、容保公の情熱や芯の強さを感じ、役に投影することができた」

 ―容保公のイメージは。
 「もともと時代に翻弄(ほんろう)された悲劇の人物というイメージが強かった。ただそれは大きな歴史の中での印象で、実際に演じてみると容保公が持つ意志の強さや、武士道への信念などを改めて感じた。歌舞伎界で活動させてもらっている身としても、自分が伝統を受け継いでそれをさらに受け渡していかなければならないという気持ちがある。そういう意味では、会津藩を受け継ぎ、守っていこうとした容保公にはとても親近感を感じた」

 ―今作が映画初出演。作品への思いを。
 「撮影したのが平成から令和に年号が変わる直前で、これから時代がどう変わっていくのかという期待と不安が入り交じっていたことを覚えている。その後、新型コロナウイルスの影響が拡大し、当初は去年上映される予定だったこの映画も延期されるなど思いもよらない事態になってしまった。まさに幕末と同じように激動の時代を迎えている。ただ、こういう時だからこそ人々を元気にさせるのがエンターテインメントの役目だと感じている」

 ―県民にメッセージを。
 「東日本大震災から10年が過ぎたが、福島の皆さんにとって越えていかなければならないことは、まだたくさんあるのだと思う。でも、そこに歴史があり思いがある以上は、越えていくことができると信じている。私も容保公を演じさせてもらった縁を大切にし、これからも寄り添いながら一緒に前を向いていきたい」(高橋敦司)

福島県内でも好評上映中

 幕末に活躍した剣客集団、新選組を描く司馬遼太郎の小説「燃えよ剣」が原作。何度も映像化されてきた名作に、映画「関ケ原」でタッグを組んだ原田真人監督と俳優の岡田准一さんが挑んだ。

 新選組の副長土方歳三を主人公に、動乱の時代を駆け抜けた剣士たちの生きざまを臨場感たっぷりに描き出す。柴咲コウさん、鈴木亮平さん、山田涼介さん、伊藤英明さんら現在の日本を代表するような俳優らが競演する。県内では郡山テアトル、イオンシネマ福島、フォーラム福島、ポレポレシネマズいわき小名浜で上映中。

          ◇

 おのえ・うこん 東京都出身。清元宗家家元七代目清元延寿太夫の次男。曽祖父は名優といわれた六代目尾上菊五郎。7歳で歌舞伎の初舞台を踏み、12歳で二代目尾上右近を襲名。29歳。