世界初、福島医大が難病「肺高血圧症」を解明 新治療法に期待

 

 福島医大の研究チームは、肺動脈が狭くなって血圧が上がり、最終的に心不全で死に至る難病「肺高血圧症」が、加齢に伴って血液細胞に遺伝子変異が起こる「クローン性造血」によって引き起こされるメカニズムを世界で初めて解明した。特定のタンパク質が発症に強く関係していることも分かり、治療法が確立されていない肺高血圧症の新しい治療法の開発につながる可能性がある。28日までに英国科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に発表した。

 解明したのは、循環器内科学講座の大学院生君島勇輔医師(35)と三阪智史助教(41)、竹石恭知教授(58)、輸血・移植免疫学講座の池田和彦教授(52)らの研究チーム。肺高血圧症は国が難病に指定しており、研究チームによると県内で毎年、20人程度が新たに診断されているという。

 クローン性造血は、遺伝子解析技術の進歩で近年明らかになってきた現象。研究では、クローン性造血で生じるある遺伝子変異に着目した。この遺伝子変異があるマウスは、ないマウスよりも肺高血圧症が悪化した。詳しく調べると、遺伝子変異により白血球の一つ「好中球」が肺動脈の周囲で増加して炎症を起こし、血管の壁が厚くなる原因となっていた。結果、血管が狭くなって病気が発症し、重症化も引き起こされていた。

 また、好中球の増加に伴い「ALK1」と呼ばれるタンパク質も増加していることが分かった。ALK1の活動を阻害する薬をマウスに投与したところ、発症を完全に抑えることができた。君島医師は「治療法が十分確立されていない病気なので、この研究結果が将来、患者の治療のヒントになればいい」と話した。