相馬・宇多川でサケのやな漁開始 販売は見送り、採卵用に

 
やな漁の初日で唯一捕獲されたサケ=29日午前、相馬市岩子

 相馬市岩子の宇多川下流で29日、サケのやな漁が始まった。漁を手掛ける宇多川鮭増殖組合は大幅な不漁が見込まれるため今年の販売を見送り、来春の稚魚放流に向けて、採卵用として捕獲する。昨年も不漁となっており、関係者は「この状況ではどうしようもない」と頭を抱える。

 この日は、組合員らが午前5時30分ごろから作業を開始。船でやなの足場にサケを追い込んだが、かかったサケは少なく、放射性物質検査のためオス1匹のみを捕獲した。

 今年は10月になっても、遡上(そじょう)するサケが少なく、例年10月上旬から中旬に予定するやな漁の開始がずれ込んだ。組合の採捕責任者、稲村正夫さん(78)は「今年は残念だが、来年は少しでも多くのサケを取りたい」と話した。

 県水産海洋研究センターによると、不漁の詳しい原因は分かっていないが、県内のほかの河川でも共通する傾向だといい、担当者は「今年は昨年に輪をかけて厳しい」と指摘した。

 宇多川では、2018(平成30)年までの過去5年間は、年平均約2万匹を捕獲。最盛期には1日当たり2000~3000匹を取っていた。19年は10月の大雨でやな場が流され、翌20年に新たなやな場を設けて漁に臨んだが、捕獲数は18年の1割弱の1802匹とどまった。