豊島竜王「精いっぱい指す」藤井三冠「成績意識しない」 前夜祭

 
決意表明する豊島竜王(右)と藤井三冠=いわき湯本温泉・新つた

 3連覇を目指す豊島将之竜王(31)が反撃を見せるのか、2連勝で勢いに乗る藤井聡太三冠(19)が最年少四冠に王手をかけるのか。いわき市のいわき湯本温泉にある「新つた」で29日開かれた第34期竜王戦7番勝負第3局の前夜祭では、両者が対局を前に決意を語り、詰め掛けた将棋ファンが名勝負に期待を膨らませた。

 対局会場に入った両者は、まず検分で将棋盤や駒などを確認し、対局に備えた。豊島竜王は「連敗しているが内容は悪くないと思っている。精いっぱい指すだけ」と淡々とした口調で語り、対局に向けて静かに闘志を燃やした。

 豊島竜王は昨年11月にも県内で竜王戦の対局を予定していたが、対局者の体調不良により中止となったことから、「昨年は対局の代わりに歓迎会で温かく迎えてくれたことが印象に残っている」と感謝し、「今回は多くの県民の方に楽しんでもらえれば」と県内のファンに向けて熱戦を約束した。

 藤井三冠は第2局で勝利し、豊島竜王との通算成績を10勝9敗と勝ち越したが、油断はない。「中盤以降はうまく選択することができたが、内容的には押していた訳ではない。意識せずやっていきたい」と対局に向けて気を引き締めた。

 前夜祭では、日本将棋連盟の佐竹康峰常務が「東日本大震災から10年の年に、いわき市で開催できる。大熱戦を望んでいる」とあいさつし、名勝負を期待した。

 また、内田広之いわき市長は「(福島対局は)震災からの復興に頑張っている市民、県民にとって大きな力になると思う」と両者を歓迎した。

 この後、解説を担当する棋士らが福島対局を展望した。立会人の屋敷伸之九段、新聞解説の佐々木慎七段、大盤解説の伊藤真吾六段、大盤解説聞き手の山口恵梨子女流二段が登壇し、予想される戦型について解説し、4人全員が第1、2局と同じ「相掛かりになる」と語った。

震災展示見学「被害知った」

 豊島竜王と藤井三冠は、前夜祭を前に訪れたいわき市のいわき・ら・ら・ミュウで、館内にある東日本大震災で被災した県内の状況を伝えるパネルなどを見学した。

 2人は震災直後の写真や、避難所を再現した展示などを見て回った。また、漁業復興の状況などについて説明を受けたり、伊勢エビなどの海産物を見たりして、本県の復興状況について理解を深めた。

 見学後、豊島竜王は「(いわき市民が)震災当時だけでなく、今も苦しんでいることを知った」と話した。藤井三冠は「被害の甚大さと復興の歩みを知ることができた。地元の人の努力でここまで来たのだと思った」と感想を語った。