忘新年会、11月に入っても予約伸びず 新型コロナで進む簡素化

 
「忘年会が入らないと厳しい」と不安を吐露する阿部さん=福島市

 新型コロナウイルスの感染拡大が一段落し、少しずつ日常生活が戻ってきている。外食産業や宿泊業は、書き入れ時の年末年始の売り上げに期待を寄せるが、11月に入っても予約は思うように伸びていない。「このままでは困ったことになる」と悲鳴にも似た声が上がる、コロナ「第5波」後の忘新年会事情を探った。

 「団体のお客さんに支えられている店なので、忘年会が入らないと厳しい」。福島市の居酒屋「tori.com(トリコム)」店長の阿部正史さんは不安を隠さない。感染防止対策を講じて県の「対策認定店」となった。努力もあり、市内のまん延防止等措置が解除されてからは、少人数グループの来客が増えてきたが、団体客を呼び戻すには至っていない。

 喜多方市の郷土料理の店「会津田舎家」の店主佐藤定喜さんも、真っ白な予約表を前に思い悩む。「大勢の飲み会はまだ後ろめたいし、感染が怖い人が多いんだろうな」と、客の心理を読む。それだけに「経済を回すためのプレミアム商品券など、消費拡大対策に力を入れてほしいね」と、行政の後押しを期待する。

 宿泊業も厳しい状況にある。石川町の八幡屋は、宿泊費用の一部を県が補助する「県民割プラス」の効果もあり、最近では県内外から予約が入るようになった。しかし、例年のような年末年始の企業の宴会、宿泊はさっぱりの状況だ。

 福島市飯坂町・穴原温泉の吉川屋では、宿泊を取りやめ弁当を持ち帰るスタイルに変更する企業もあるという。予約担当者は「人数が少ない忘新年会は直前に申し込みが入る」と巻き返しを狙うが、「企業の恒例行事だった忘新年会そのものを簡素化する動きがある」と、新型コロナがもたらした変化を指摘する。

 企業側はどうか。いわき市の東洋システムはホテルの宴会場などで200人規模の忘年会を開いていた。今年は感染拡大期にキャンセルした。行政による行動制限要請などはないが、社内で従業員同士の飲み会の自粛を求めている中で、復活は考えづらいという。

 福島市のある企業は、会食を4人までに制限している。県のプレミアム付き電子食事券事業「オールふくしま食べて応援キャンペーン」が始まった。担当者は「付き合いのある飲食店も多く、キャンペーンを機に応援したい気持ちは強い。だけど、感染防止策とのバランスの取り方が難しい」と苦しい胸の内を明かす。

 自粛ムードを少しずつ変えていくような、経済刺激策と感染防止対策をつくり上げることが、安全なにぎわいの鍵になる。