遺族「裁判所は現場見て」 東電強制起訴控訴審初公判

 

 東京高裁で2日始まった東京電力旧経営陣の強制起訴裁判控訴審では、遺族や県民から新たな証人や証拠に基づくさらなる事実解明を期待する声が上がる。

 「現地を見ないで正しい判断はできないと思う。裁判所にはぜひ現場検証し、厳正な判断を下してほしい」。大熊町から双葉郡内に避難して生活を送る女性(68)は、東京高裁で始まった控訴審について思いを語った。

 女性は、双葉病院系列の介護老人保健施設「ドーヴィル双葉」に入所していた父親=当時(92)=と母親=当時(88)=を亡くした。「どうして亡くなったのか。責任の所在は誰にあるのか」。女性にとって裁判は、両親の死を受け止める上で大きな意味を持つ。

 その思いから、東京地裁で開かれた一審には、長男(43)と共に20回以上通った。裁判の「被害者参加制度」を活用し、傍聴席から審理を見続けた。控訴審も、可能な限り見届ける考えだ。

 肺炎で双葉病院に入院していた父=当時(99)=を亡くした、大熊町から水戸市に避難する男性(77)も傍聴席に座った。再び刑事裁判の場で争われる原発事故の責任論。男性は「被害者の思いをくみ取った審理と判決をしていただきたい」と話した。

 3カ月かけて採否「評価」 遺族代理人

 控訴審に被害者参加した遺族の代理人を務める海渡雄一弁護士らは閉廷後に記者会見し、第2回の公判期日が来年2月になったことについて、「約3カ月かけて証拠調べの採否を決めるのは慎重な姿勢」と東京高裁の判断を評価した。

 検察官役の指定弁護士は控訴審で、新たに3人の証人を申請し、尋問をするよう求めた。3人は、気象庁で地震の長期評価を担当していた元幹部と原子炉の設計に携わった大手企業の元技術者、地震の専門家である島崎邦彦元原子力規制委員長代理となっている。

 海渡弁護士は「一審後に新たな事実が分かったことについて、証人申請されたのではないか」と理由を推察した。また、控訴審では、裁判官が第1原発で現場検証を行うかどうかも争点となる。一審では現場検証の実施が見送られており、海渡弁護士は「実現すれば、一審判決を見直す判断につながるのではないか」と指摘した。