原発事故避難の友励ます「大熊の歌」 シャンソン歌手らCD制作

 
吉田町長(中央)にCDを寄贈した紗羽さん(左)とキミ子さん

 郡山市でシャンソン手として活動している紗羽(さわ)しゅうこさんが鮫川村の関根政雄村長(65)と協力し、東日本大震災で被災した大熊町のことをった「あの山のむこうに」のCDを完成させた。きっかけは、東京電力福島第1原発事故で大熊町から避難している友人の石田宗昭さん(82)を励まそうとしたことだった。

 3人は2001(平成13)年に須賀川市で開かれた「うつくしま未来博」で知り合った。紗羽さんは当時、民謡の語り部をしており、未来博でドングリを植樹する事業を進めていた関根さんと石田さんと仲を深めた。

 原発事故後の11年9月、紗羽さんと関根さんは長野県に避難していた石田さんを訪れた。石田さんは、古里の大熊町のことを振り返っていた。「あの山のむこうにはふるさとがあるんだ」。関根さんはそう語った石田さんの言葉を思い返しながら作詞し、「あの山のむこうに」の詞を約8年前に完成させた。

 今年に入り石田さんが体調を崩した。現在は田村市で妻のキミ子さん(79)と住んでおり、紗羽さんと関根さんがお見舞いに行った。その際、関根さんが自らメロディーを付けて作った「あの山―」のを石田さんに披露。そのを聴いた紗羽さんは「石田さんのために作ったこのを、なんとか形にさせたい」と音源を録音して自ら楽譜に起こし、ピアノ演奏を付けて曲を作り上げた。

 CDが完成したのは2月。紗羽さんは9月、CDを持ってキミ子さんと大熊町役場を訪問し、吉田淳町長(64)に寄贈した。は10月に実施された大熊町の成人式でも披露された。紗羽さんは「大熊町だけでなく、さまざまな理由で困難を抱える人にも、このを届けたい」と話した。