「報恩之辞」複製品の試作品完成 福島、朝河正澄への書簡

 
「報恩之辞」複製に向けた試作品が公開された会場

 世界的歴史学者・朝河貫一博士の父正澄に当時の地域住民が感謝を伝えようと贈った書簡「報恩之辞」の複製品の試作品が完成した。朝河博士が幼少期を過ごした福島市立子山のNPO法人「地域のみんなのチカラ」が作製し、10月30日、立子山自然の家で公開した。

 正澄は長年、立子山小に勤めており、教育活動への謝意を示そうと、地域住民が懐中時計と一緒に書簡を贈った。書簡では、住民の感謝の思いを冒頭に漢文で示したほか、協力者となった約700人の住民の名前が記されている。

 書簡は朝河博士の死後、米国のエール大が保管している。ただ、朝河博士の顕彰に取り組む同NPOが立子山の誇りになるものだとして複製品の作製に着手。早大文学学術院の甚野尚志教授(福島市出身)の協力を得て取り組んでいる。

 試作品には同大の藤原秀之非常勤講師が漢文の現代語訳を添えた。来年度は実寸大の複製品を作製し、地域住民らへの公開を目指している。同NPOの寺島正嗣理事は「『報恩之辞』は立子山地域に伝わる伝統と誇り。複製に向けて活動に励みたい」と話した。