避難者支援、孤独・孤立対策に 震災後の事例、政府フォーラム

 
野田担当相(左から3人目)ら出席者が事例報告や意見交換などに臨んだフォーラム

 政府は8日、孤独や孤立対策の検討のため支援団体の意見を聞く「第9回孤独・孤立に関するフォーラム」を福島市で開いた。野田聖子孤独・孤立対策担当相は東京電力福島第1原発事故の避難者に対する各団体の支援状況を踏まえ、「避難者へのこれまでの取り組みを好事例とし、精度のいい支援を示すことが大切だ」との考えを示した。

 フォーラムは現場の声を施策に反映させるため、東京都などで開かれており、本県では初開催。野田担当相と内堀雅雄知事が原発事故により多くの県民が避難したことを踏まえ、県内6団体の取り組み状況を聞き取った。出席者からは、支援者が柔軟に動ける体制整備や、孤独・孤立の要因になり得る心の健康について子どもが学ぶ機会を設けることなどを求める意見が出た。

 2015(平成27)年に避難指示が解除された楢葉町で活動する、町社会福祉協議会地域包括支援センターの磐城美樹センター長は長期間の避難生活は「想像以上に心に影響を及ぼす」と指摘。住民の孤立化を防ぐため、集会所単位の集いや高齢者を対象とした交流サロンの開催に取り組んできたことを紹介した。また、これまでの経験から、補助金を活用すると目的外の活動が制限されるとし「多様に活動できる体制が整えばさまざまな活動にチャレンジできる」と提案した。

 相馬広域こころのケアセンターなごみの米倉一磨センター長は、心を病んだ人への支援や医療の在り方について「現状は起こったことへの対処」と述べた。その上で「予防的な活動に注力する必要がある」とし、幼少期から心の問題や対処法を理解する機会が必要との認識を示した。いわき市などで避難者が入居する住宅の見回り活動などを展開するNPO法人みんぷくの赤池孝行理事は孤立化しやすい人の特徴として、高齢の独居男性で、閉じこもりがちであることなどを挙げ「人とのつながりが重要。連携し、総力戦で取り組む必要がある」と強調した。

 野田担当相はフォーラム終了後、報道陣の取材に応じ「現場の心が伝わってくるような話をいただいた。今後検討する施策に盛り込んでいきたい」と述べた。

 助け求めやすい環境を 県内6支援団体が意見

 福島市で8日に開かれた「孤独・孤立に関するフォーラム」では、孤立防止に取り組む団体や行政など「支援する側」の体制整備に加え、孤立を感じている避難者や子ども、高齢者、障害者ら自身が声を上げ、助けを求めやすい環境をつくっていく必要性を指摘する意見が相次いだ。

 「避難しなかった人も含め、誰にも頼らず孤立していた」。障害者支援に取り組む社会福祉法人牧人会あだたら育成園長の渡辺中(かなめ)氏は、東日本大震災時に障害者や家族が周囲に助けを求められず、避難しない判断をしたり、避難所で孤立したりしていた状況を説明した。その上で、平時から障害者を孤立させない地域をつくり「災害時に『助けて』と言える関係の構築が必要だ」と話した。

 このほか、各団体の代表らからは「助けを求めることが悪いと思われてしまっている風潮がある」などの意見が上がった。

 野田聖子孤独・孤立対策担当相は「人に頼らず、自分で頑張らなければならないというものをどう壊し、新たな価値を生んでいくかという、前に進めるような提案をいただいた」と述べた。

 内堀雅雄知事は「行政として、孤独・孤立対策という重要な問題について(担当課などの)主体をどうするかということがまだ途上にあるのが現状だ」と課題を示し、「県内のどこにどういう団体があり、何をしているのか、悩んだ人が分かるようなポータルの窓口が県民にとって大事だ」と述べた。