発祥の地のあんぽ柿も凍霜被害 梁川・五十沢地区、収穫7割減

 
栄養が集中して、へたと実の間に隙間が空いたカキ

 県北地方の特産品「あんぽ柿」に加工されるカキが収穫シーズンを迎えている。しかし、阿武隈川沿いを中心に、4月の凍霜(とうそう)害を受けた畑ではほとんど実がなっていない。地元生産関係者によると、あんぽ柿発祥の地として生産が盛んな伊達市梁川町五十沢(いさざわ)地区では、例年の3割程度しか収穫が見込めない状況だ。生産者は「待ってくれている消費者のためにも、助かったカキを大切に収穫していきたい」と前を向く。

 「凍霜被害が起きた春先から、収穫ができないことは分かっていたが、実が少なく非常に厳しい」。五十沢地区の果樹農家曳地一夫さん(63)は苦しい胸中を語る。同地区を中心に約120アールの土地であんぽ柿用のカキを栽培しているが、阿武隈川沿いの畑では約25アールが凍霜害を受けた。

 あんぽ柿の原料は主に蜂屋柿、平核無(ひらたねなし)柿などの渋柿。曳地さんによると、わずかに実を付けている木もあるが、残っている実に栄養が集中したため、へたと実の間に隙間が空いたものもある。この場合、隙間から腐敗が進んでしまうため、廃棄するしかないという。

 あんぽ柿は、皮をむいた渋柿を硫黄で薫蒸した後に乾燥させる。半生状の軟らかい食感で長期保存も可能な冬の味覚。本県は震災前、全国トップクラスの生産高を誇り、2010年度は伊達、桑折、国見の3市町で約1200トンの出荷実績があった。原発事故の影響で加工を2年間自粛したが、生産量は回復傾向にあり、昨年度の出荷量は約900トン。約90人があんぽ柿を生産している五十沢地区でも、19年に東日本台風の浸水被害により収穫できなかったが、昨年は豊作だった。

 あんぽ柿は本県のほか富山や福井、山梨などでも生産されている。曳地さんは「震災後に2年間生産を休んだ時も復活を待ってくれていた全国のファンがいる」と福島産あんぽ柿のブランド力の高さを示す。「消費者のためにも、まずは助かったカキを大切に収穫して『五十沢のあんぽ柿』を作りたい」と前を向く。曳地さんが加工するあんぽ柿は12月中旬以降、北海道や関東に出荷される予定だ。

 伊達市は来年の収穫に向け、消毒費の補助などの支援を行っている。担当者は「市全体では例年と比べて7割の収穫量となる見込みだ。数は減ってしまうが、しっかりと特産品を売り込んでいきたい」と話した。