福島県の2蔵元、東北清酒鑑評会で最優秀

 
(写真上)初めての最優秀賞に輝いた受賞酒を誇らしげに掲げる斎藤社長(写真下)純米酒の部で最優秀賞を獲得し笑顔を見せる細井社長(右)と佐藤さん

 仙台国税局は11日、2021年の東北清酒鑑評会の結果を発表した。吟醸酒の部は代表銘柄「千功成」で知られる檜物屋(ひものや)酒造店(二本松市)、純米酒の部は国権酒造(南会津町)が最優秀賞に輝いた。最優秀賞は13年に設けられ、本県の蔵元が両部門で独占するのは7年ぶり2度目。技術力の高い蔵元がひしめく東北地方で改めて「日本酒王国」の実力を示した。

 本県は吟醸酒の部で15点、純米酒の部で12点の27点が優等賞に選ばれ、県別の受賞数も3年ぶりに最多だった。山形が19点、秋田が15点で続いた。東北地方には毎年春の全国新酒鑑評会で金賞を獲得する蔵元が集中し、東北清酒鑑評会は全国トップレベルの鑑評会ともいわれる。

 今回は2020酒造年度(20年7月~21年6月)の清酒を対象に、東北6県から吟醸酒の部に121製造場の145点、純米酒の部に111製造場の127点の出品があった。1製造場当たりの出品点数は例年の3点から2点に減らした。

 審査は10月に行われ、仙台国税局の鑑定官や酒類総合研究所の職員、酒造技術の指導機関や酒蔵などの関係者が味や香りを総合的に評価した。吟醸酒の部で51点、純米酒の部で41点を優等賞に選出。優等賞から各部門の最優秀賞1点と評価員特別賞2点を決めた。

吟醸酒・「千功成」で栄誉 二本松・檜物屋酒造店

 檜物屋酒造店は吟醸酒の部に「千功成大吟醸袋吊り」を出品、初の最優秀賞に輝いた。「千功成」は市外にほとんど流通しない地酒中の地酒。斎藤一哉社長(50)は「地元に愛される酒を丁寧に造る小さな蔵でも高い技術力を持っていると証明でき、うれしい」と喜ぶ。

 震災と原発事故後、南部杜氏(とうじ)を招くことができなくなり、市内在住の杜氏、和田健一さん(72)を中心に従業員5人が試行錯誤しながら酒造りを続けた。地元の蔵人だけによる9度目の仕込みで栄誉を手にした。

 「県ハイテクプラザの技術指導や県内酒蔵との情報交換が大きい」と斎藤社長。仕込み量が少なく、夏の劣化が課題だったが、氷点下5度で貯蔵できる冷凍庫を導入しクリアした。全国新酒鑑評会は2年連続入賞中だ。「10度目の節目の仕込みで金賞を」。斎藤社長と蔵人は東北一を励みに次のステップへまい進する。

純米酒・理想求め初受賞 南会津・国権酒造

 純米酒の部で初の最優秀賞を獲得した国権酒造の細井信浩社長(49)は「(酒造りの)福島の底力が改めて証明されたと思う。受賞は蔵にとって名誉であり、自信になる」と胸を熱くした。

 同社は、今年の全国新酒鑑評会で13回連続が懸かった金賞を逃した。新型コロナの影響で酒の売り上げは落ち、顧客との接触も減り、孤独と闘っていた。それでも細井社長は「多くの人に支えてもらっている」と前を向いた。

 農家からのコメの仕入れは減らすことなく、蔵が目指す理想の酒造りに取り組み続けた。

 南会津町で11日、細井社長と同社杜氏の佐藤吉宏さん(69)が仙台国税局から賞状を受けた。さまざまな困難の中でつかんだ栄冠。「福島には素晴らしい酒と食べ物がある。今年の年末年始はオール福島で特別な時間を過ごしてもらいたい」と笑顔を咲かせた。

受賞酒蔵

 ◇吟醸酒の部 ▽最優秀賞=檜物屋酒造店(二本松市)▽評価員特別賞=鳴海醸造店(青森県)和田酒造(山形県)▽優等賞(県内)=榮川酒造磐梯工場(磐梯町)白井酒造店、末廣酒造博士蔵(会津美里町)辰泉酒造、名倉山酒造(会津若松市)佐藤酒造店、たに川酒造、渡辺酒造本店(郡山市)有賀醸造(白河市)東日本酒造協業組合・奥の松酒造、檜物屋酒造店(二本松市)会津酒造、国権酒造、開当男山酒造(南会津町)

 ◇純米酒の部 ▽最優秀賞=国権酒造(南会津町)▽評価員特別賞=西田酒造店、六花酒造(青森県)▽優等賞(県内)=金水晶酒造店(福島市)鶴乃江酒造、名倉山酒造(会津若松市)渡辺酒造本店(郡山市)豊国酒造(古殿町)松崎酒造(天栄村)喜多の華酒造場(喜多方市)東日本酒造協業組合・奥の松酒造(二本松市)会津酒造、国権酒造、花泉酒造(南会津町)