卒業生、寺子屋に恩返し 郡山・無料学びの場、東大生が講師に

 
問題のヒントを教えるとともに、勉強の楽しさを伝える藤田さん(左)

 教員OBらが講師を務める無料の学びの場「寺子屋郡山(郡山市)」の利用者が延べ1000人を超えた。勉強が苦手な小中学生を支援しようと本格始動して約7年。今秋には卒業生の藤田葵さん(19)=東大理科1類2年=が講師として応援に駆け付け、「勉強の楽しさを伝えたい」と自身の好奇心を伸ばしてくれた寺子屋に"恩返し"の日々を送っている。

 郡山市中央公民館の一室で子どもと向き合い、熱心に勉強を教える藤田さん。母の勧めで寺子屋に通い始めたのは中学1年生の時。それまでは勉強が全く好きではなく、「最初は気乗りしなかった」と振り返る。

 だが問題の答えや結果より、考える過程を重視する講師の教えに、自分で考えて答えを導き出すことが楽しくなった。いつの間にか勉強に対する苦手意識はなくなった。中学2年生で県数学五輪に出場すると銀メダルを獲得。学力がついていることを実感した。

 寺子屋が本格始動したのは2014(平成26)年4月。運営には市が協力し、講師は高校の元校長や英語の通訳者、寺の住職など多方面にわたる。専門的な知識や経験を子どもたちに還元したい大人が志願して集まった。

 通うのは、勉強意欲がある子どもや勉強が苦手な子ども、不登校の子どもなどさまざま。自主学習を中心に分からないことを講師に聞くというスタイルで、会長を務める元県教育長の富田孝志さん(73)は「自分の長所や可能性を自分で伸ばす経験を積んで成長してほしい」と期待を込める。

 寺子屋で学ぶ中、藤田さんは「いつかここに戻り、勉強を教えたい」と思い始めた。その願いがついにかなった。東大がコロナ禍でリモート授業のため、実家に滞在していることを知った寺子屋関係者に誘われ、すぐに引き受けた。

 講師として勉強を教える難しさに悩む時もあるが、「子どもたちの成長を自分なりに応援していきたい」と前向きに取り組む。勉強が苦手な子どもには「どこが苦手なのか考えることが大事。それを発見できるのも楽しさ。自分なりの楽しいポイントを見つけることが、苦手克服の秘訣(ひけつ)」とアドバイスする。将来は「寺子屋で得た知識や経験を生かし、誰かの手助けができるような技術を開発したい」と藤田さん。今日も子どもたちと向き合い、勉強の楽しさを伝えている。(千葉あすか)

寺子屋郡山
・開講日=毎週土曜日の午後1時30分~同4時30分
・場所=郡山市中央公民館
・料金=無料
・対象=市内外の小学5・6年生、中学1~3年生(60人を超えた場合は抽選)
・問い合わせ先=郡山市教委学校教育推進課(電話024・924・2431)