日豪の架け橋 広めた日本の味、福島出身の輸入商社創業者が叙勲

 
旭日双光章の受章を喜ぶ舟山さん  

 3日付で政府が発表した秋の叙勲で、オーストラリアの日系輸入商社「ジュンパシフィックコーポレーション」創業者の舟山精二郎(せいじろう)さん(90)=福島市飯坂町出身=が旭日双光章を受章した。現地で日本食を扱うスーパーを展開し、日豪の懸け橋となってきた。「大変名誉なことで社員も喜んでいる」と語る。

 日本が高度経済成長期を迎えた1961(昭和36)年、当時30歳だった舟山さんは大手商社の駐在員としてオーストラリアに赴任。紙の原料となるパルプを取引し、誠実な仕事ぶりで友好な関係を築いていった。

 海外の暮らしになじむ子どもの存在もあり、同国で暮らしていくことを決断した。会社を辞めて、45歳の時に日本の食材を扱う輸入販売店「東京マート」を開いた。オープン当初は売り上げが1日2千~3千円程度。そんなある日、坂本九の「上を向いて歩こう」が世界的にヒットした。英題が「SUKIYAKI」だったことから日本の食材を扱う同店にも注目が集まった。

 舟山さんが豆腐やしらたきなどの食材をそろえて、すき焼きセットを販売するとたちまち人気商品になった。納豆や餅などに食べ方や調理法を書いたメモを付ける地道な作業も実り、買い物客が徐々に増えていった。品数を増やす過程では、アルコールの規制が厳しい同国で日本酒を販売するために労力を費やした。

 現在も社業に従事しており、県内企業から輸入した食料品の販路開拓と風評払拭(ふっしょく)にも意欲的に取り組んでいる。

 「初めて来た頃に比べて本当に日本食が浸透したなと感じている。もう"日本食"じゃなくなっているかな」とこれまでの歩みを笑顔で語る。

 【プロフィル】福島高、慶大経済学部卒。日本人で初めてオーストラリアの永住権を取得。2016年日本食海外普及功労者表彰農林水産大臣表彰、20年外務大臣表彰を受賞。シドニー県人会長なども務めた。