高校生、緊迫の現場証言...「自分が止めるしか」男に飛び乗った

 
事件当時の様子を証言する針生さん=16日午後5時ごろ、福島市・JR福島駅西口

 福島市栄町のJR福島駅西口広場で女性が腹部を切り付けられた事件で高橋清容疑者を取り押さえて警察に引き渡した県立高校2年の針生聖那(せつな)さん(17)が16日、福島民友新聞社などの取材に応じ「自分がやるしかないと思った。とっさに体が動いた」と緊迫した当時の状況を証言した。

 いつも通り学校を終え、友人2人と駅構内の飲食店に向かう途中だった。自転車を近くの駐輪場に止めて歩いていた時、異様な光景を目にした。丸刈りで青いジャケットを着た男が、両手にナイフをぶら下げるように持ってふらふらと歩いていた。目を奪われていると、高齢者の女性に突然、切りかかった。針生さんとの距離は10メートルほどだった。

 女性の悲鳴が響き渡った。周囲の人は逃げて騒然となる中、針生さんの脳裏に浮かんだのは、10月に発生した京王線特急の乗客刺傷事件だった。「福島でも起きるのか」。ナイフを持つ相手に「多少の恐怖はあったが、自分が止めるしかないと、とっさに体が動いた」と針生さん。近くにいた男性に突き飛ばされて倒れ込んだ高橋容疑者に、すかさず飛び乗った。

 すぐ近くには2本のナイフ。「危ない」とすぐにナイフをどかし、腰にまたがり両手首をつかんだ。ぶつぶつと話す高橋容疑者の言葉は聞き取れなかったが、両手首から感じた脈の感覚は今も鮮明に残っている。友人2人は切り付けられた女性を介抱し、持っているタオルなどで止血した。言葉は交わさずとも、連携して対応することができた。

 警察が到着するまでの約5分間がとても長かった。足も震えた。「早く来てくれ」。そんな思いだった。

 事件を振り返り「身近な場所でこんな事件が起こるとは。被害は出てしまったが、女性の命に別条がなくて本当に良かった」と針生さん。女性を気遣い、安堵(あんど)の表情を浮かべた。