福島医大と連携、がん治療薬開発 国際教育拠点、国が研究具体案

 

 政府は18日、浜通りに整備を計画する国際教育研究拠点を巡り、研究内容の具体案を示した。創薬研究の基盤が整った福島医大と連携し、がん治療などに使える放射性医薬品の開発を進める。ゲノム編集技術を活用して二酸化炭素(CO2)を大量に吸収する植物の栽培なども目指す。世界最先端の研究を人材育成と産業創出にいかに結び付けていくかが課題となり、政府は具体化に向けた検討を加速させる。

 テレビ会議形式で開かれた復興推進委員会の会合で説明した。研究内容のポイントは【表】の通り。政府は研究分野を▽ロボット▽農林水産業▽エネルギー・脱炭素▽放射線科学・創薬医療▽東京電力福島第1原発事故に関するデータや知見の集積・発信―とし、具体的な中身を詰めている。

 エネルギーと脱炭素では、省エネや再エネの導入を進めても、CO2の排出を抑えることが難しい分野に着目。CO2の吸収量が多く、生育の早い植物を作り、植物工場の実用化につなげたい考えだ。研究過程で、新たな実証試験場の整備も視野に入れている。

 ロボットでは、放射線量が高く、電波が届きにくい場所でも遠隔操作できる実機の開発に挑む。水素燃料電池を動力源とするドローン(小型無人機)の開発にも取り組む。これらの研究を支えるため日本初となる大型エックス線コンピューター断層撮影(CT)装置を導入し、大きな物体の内部構造データを読み取れるようにする案が出ている。

 農林水産業では、自動運転や情報通信技術(ICT)を生かして持続可能な産業の仕組みを探るほか、漢方薬の原料となる薬用作物の栽培を模索する。会津でオタネニンジンの栽培実績があることを踏まえた。

内堀知事「予算の確保を」

 オンラインで参加した内堀雅雄知事は「既存の施設で行ってきた研究の延長や寄せ集めにとどまらず、新拠点で初めて取り組み、目玉となる研究内容を打ち出してほしい」と強調した。一方、拠点を運営する組織の形態に関し、内堀知事は「国が法律に基づいて法人を設立するとともに責任を持って予算を確保することが重要」と訴えた。その上で「既存の施設の統合や予算の集約だけにとどまることなく、新拠点にふさわしい予算を純増で確保することが必要だ」と求めた。

 政府は法律で定めた特別な法人を新設する方向で最終調整しており、西銘(にしめ)恒三郎復興相は月内に決める考えを改めて示した。